USB規格まとめ
更新日 2019年10月17日 | 公開日 2019年10月17日
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- ◆ 1 はじめに
- ・1-1 USB規格まとめ表
- ・1-2 USBとは? USBの概要
- ◆ 2 USBのバージョンと転送速度
- ◆ 3 USBの端子
- ・3-1 端子の小型化
- ・3-2 ピンについて
- ・3-3 【USB1.0/1.1】と【USB2.0】の端子
- ・3-4 【USB3.0】と【USB3.1 Gen2】の端子
- ・3-5 【USB3.2 Gen1x2】【USB3.2 Gen2x2】【USB4】の端子
- ・3-6 USB端子の着脱回数
- ・3-7 USBケーブルの長さ
- ◆ 4 USB Type-C
- ・4-1 Type-Cの端子
- ・4-2 Type-Cの給電能力
- ・4-3 オルタネートモード
- ・4-4 Type-Cの対応するUSBバージョンと規格
- ・4-5 Type-Cの2つの注意点
- ◆ 5 USBの給電能力
- ◆ 6 USB OTG
- ◆ 7 Wireless USB
- ◆ 関連ページ
1【はじめに】
USBはマウス、プリンターなどのパソコン周辺機器やUSBメモリなどの外部記憶装置を接続して利用したり、スマホやタブレットの充電に利用など、現在では様々な場面で使われていますが、【USBのバージョン】や【USB端子の形状】【USBでの充電規格】などの種類が色々とあって分かりづらくなっています。
このページはUSB規格を【バージョンと転送速度】【端子】【Type-C】【給電能力】【USB OTG】【Wireless USB】に分けて解説しています。
1-1【USB規格まとめ表】
USB規格をまとめた表。この表を見るだけで事足りる人がいると思うので、はじめに掲載。表の端子の名称についてですが【USB Type-AをUSB-A】【Micro USB Type-BをMicro-B】などと省略しています。
バージョン 仕様公開 | 転送速度 | 端子 | 給電規格 |
---|---|---|---|
【USB1.0】 1996年1月 【USB1.1】 1998年9月 | 【Low-Speed】 1.5Mbps 187.5KB/s 【Full-Speed】 12Mbps 1.5MB/s | USB-A USB-B Mini-A Mini-B Micro-A Micro-B | 【USB1.0】 5V/500mA (2.5W) |
【USB2.0】 2000年4月 | 【High-Speed】 480Mbps 60MB/s | USB-A USB-B Mini-A Mini-B Micro-A Micro-B USB-C | 【USB2.0】 5V/500mA (2.5W) 【USB BC】 5V/1.5A (7.5W) 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) (USB3.2 Gen1) 2008年11月 | 【SuperSpeed】 5Gbps 625MB/s | USB-A(3.0) USB-B(3.0) Micro-B(3.0) USB-C | 【USB3.0】 5V/900mA (4.5W) 【USB BC】 5V/1.5A (7.5W) 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
【USB3.1 Gen2】 (USB3.2 Gen2) 2013年8月 | 【SuperSpeed+】 10Gbps 1.25GB/s | USB-A(3.0) USB-C | 【USB3.1】 5V/900mA (4.5W) 【USB BC】 5V/1.5A (7.5W) 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
【USB3.2 Gen1x2】 2017年9月 | 【SuperSpeed+】 10Gbps 1.25GB/s | USB-C | 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
【USB3.2 Gen2x2】 2017年9月 | 【SuperSpeed++】 20Gbps 2.5GB/s | USB-C | 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
【USB4】 2019年9月 | 40Gbps 5GB/s | USB-C | 【USB Type-C】 5V/1.5A (7.5W) 5V/3A (15W) 【USB PD】 最大100W |
1-2【USBとは? USBの概要】
USB(ユー・エス・ビー)とは【Universal・Serial・Bus (ユニバーサル・シリアル・バス) 】の略で、パソコン等と周辺機器を接続するシリアルバス規格の1つです。【USB-IF】という非営利団体がUSBの仕様を決めています。【USB1.0】の仕様公開は1996年1月ですので、20年以上も前に登場しています。

それ以前はマウスやキーボード、プリンターなどの周辺機器1つ1つに専用の規格があったのですが、その規格を統一して利便性を高めようとしたのがUSBの始まりです。1種類のケーブルで色んな機器と接続できるようにした、という事です。また1つのケーブルで【データの転送】と【電力の供給】が可能で、消費電力の低い機器ならケーブル1本で利用できます。その他にも下記の便利機能があります。
◆パソコンなどにUSBを挿せば自動でドライバをインストールし使用可能状態にする【プラグ・アンド・プレイ】に対応。
◆電源を入れたままUSBの抜き差しが可能な【ホットプラグ】にも対応。
非常に便利なUSBですが、私達が取り扱うデータの量は年々増大しています。また小さな機器との接続には小さな端子が求められました。そしてUSBの給電能力の需要も高まっています。それらの要求に答えるためにUSBは数年に1度バージョンアップが行われます。

このバージョンアップにより【より速く・より小さく・より給電能力を高く】を実現してきましたが、バージョンが上がるという事は、種類も増えていくという事でもあります。【1種類のケーブルで色んな機器と接続可能】という非常に分かりやすいUSBだったのですが、バージョンアップで性能が上がっていく反面、分かりづらくなっていく事にもなります。
2【USBのバージョンと転送速度】
USBのバージョンと転送速度についてを【現在利用されているUSB】と【今後利用されるUSB】に分けて説明します。単純にバージョンアップ毎に転送速度は上がっていきますが、バージョンについては【バージョン名を言い換える】という事が起きていて、その部分はややこしい事になっています。
2-1【USB1.0】~【USB3.1】 現在利用されているUSB
下は現在 (2019年10月) 利用されているUSBの【バージョン】【転送速度】【仕様公開された年月】をまとめた表になります。ちなみに仕様公開がされてから、メーカーがその仕様にもとづいて製品を作るため、仕様公開されて、ある程度時間(半年~3年)が経ち製品が出始めます。
バージョン | 転送速度 | 仕様公開 | |
---|---|---|---|
bps(ビット毎秒) | B/s(バイト毎秒) | ||
【USB1.0】 | 1.5Mbps 12Mbps | 187.5KB/s 1.5MB/s | 1996年1月 |
【USB1.1】 | 1.5Mbps 12Mbps | 187.5KB/s 1.5MB/s | 1998年9月 |
【USB2.0】 | 480Mbps | 60MB/s | 2000年4月 |
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) | 5Gbps | 625MB/s | 2008年11月 |
【USB3.1 Gen2】 | 10Gbps | 1.25GB/s | 2013年8月 |
【bps】は【bits per second:ビット毎秒】
【B/s】は【Bytes per second:バイト毎秒】
同じ【英語のビー】ですがbit(ビット)とByte(バイト)と違う単位です。【8ビット=1バイト】なので【B/s】を8倍すれば【bps】の数値になります。
【USB1.0】と【USB1.1】には2つの転送速度があり、速度の遅い方はマウスやキーボードなど、速度の速い方はプリンターやスキャナーなどに使用されました。【USB1.0】から【USB1.1】のバージョンアップでは電源管理などの仕様を改善しているだけなので転送速度は上がっていません。

【USB1.1】から【USB2.0】は理論上は約40倍の転送速度を実現したため外付けHDDなどの製品が、次の【USB3.0】ではさらに10倍の転送速度になり外付けSSDなどの製品が生まれました。【USB3.1】では10Gbpsに到達し、より高速な通信が可能となりました。

バージョンアップする毎に順調に転送速度が上がっていきましたが、USB3.0のバージョンには【USB3.0とUSB3.1 Gen1】と2つあります。
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) | 5Gbps | 625MB/s | 2008年11月 |
---|
これはどういう事かというと【USB3.1】のバージョンアップ時に、前バージョンの【USB3.0】という名称をわざわざ【USB3.1 Gen1】へと言い換えました。 これからは【USB3.0】じゃなくて【USB3.1 Gen1】って呼んでね!という事。それでUSB3.0には【USB3.1 Gen1】という別名があります。【Gen】は【Generations/世代】の略です。
普通の人はUSB3.0の名称が変わった事など知りませんから混乱します。
また言い換えた事も、長ったらしい名称にした事も問題なのですが、一番の問題はメーカーや製品によって使用する名称が【USB3.0】【USB3.1 Gen1】【USB3.1】などとなっていて、名称が統一されていない事です。これは例えばUSBメモリを買おうと思った時に下のような状況が生まれます。

1つのUSBメモリに【USB3.0 / USB3.1(Gen1) 対応】と書いてあったら、【USB3.0】以上の速度が出そうな気がしますが【USB3.0】の速度しかでません。
1つのUSBメモリに【USB3.1 対応】と名称が省略され書かれていたら、USB3.1の【Gen1】なのか【Gen2】なのか分からないです。
特に3つ目のバージョン名が省略表記されていたら転送速度などを確認しないと、どのバージョンか分かりません。真っ当なメーカーならちゃんと表記してありますが、適当なメーカーは表記しておらず詐欺まがいな事になっています。USB3.1のGen1とGen2では転送速度が倍違ってくるので気をつけて下さい。
とはいえ、【USB3.1】とあれば普通は【USB3.1 Gen2】の事を指しますし、【USB3.1 Gen1】とは表記せず【USB3.0】と表記する事は多いです。ただ上記の様な事があるため注意は必要。
2-2【USB3.2】と【USB4】 今後利用されるUSB
次に今後のUSBですが【USB3.2】【USB4】共に仕様公開はされていて、【USB3.2】の製品は2019年後半~2020年前半頃に出てくると言われています。【USB4】の製品はまだ先。
上の表にUSB3.2とUSB4の【バージョン・転送速度・仕様公開年月】を足したものが下の表になります。
バージョン | 転送速度 | 仕様公開 | |
---|---|---|---|
bps(ビット毎秒) | B/s(バイト毎秒) | ||
【USB1.0】 | 1.5Mbps 12Mbps | 187.5KB/s 1.5MB/s | 1996年1月 |
【USB1.1】 | 1.5Mbps 12Mbps | 187.5KB/s 1.5MB/s | 1998年9月 |
【USB2.0】 | 480Mbps | 60MB/s | 2000年4月 |
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) (USB3.2 Gen1) | 5Gbps | 625MB/s | 2008年11月 |
【USB3.1 Gen2】 (USB3.2 Gen2) | 10Gbps | 1.25GB/s | 2013年8月 |
【USB3.2 Gen1x2】 | 10Gbps | 1.25GB/s | 2017年9月 |
【USB3.2 Gen2x2】 | 20Gbps | 2.5GB/s | 2017年9月 |
【USB4】 | 40Gbps | 5.0GB/s | 2019年9月 |
確実に転送速度は上がっていますが【USB3.0】は3つ、【USB3.1 Gen1】は2つの名称があります。
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) (USB3.2 Gen1) | 5Gbps | 625MB/s | 2008年11月 |
---|---|---|---|
【USB3.1 Gen2】 (USB3.2 Gen2) | 10Gbps | 1.25GB/s | 2013年8月 |
【USB3.2】では、またバージョン名が言い換えられました。 【USB3.1 Gen1】は【USB3.2 Gen1】へと、【USB3.1 Gen2】は【USB3.2 Gen2】へと変更されました。つまり【USB3.0】は【USB3.1 Gen1】に変更され、さらに【USB3.2 Gen1】へと2度の名称変更がなされています。
【赤字】と【青字】が、それぞれ同じバージョンのUSB。
【USB3.0】
【USB3.1 Gen1】【USB3.1 Gen2】
【USB3.2 Gen1】【USB3.2 Gen2】【USB3.2 Gen1x2】【USB3.2 Gen2x2】
そしてUSB3.2では【USB3.2 Gen1x2】と【USB3.2 Gen2x2】の2つの新しいUSB規格が増えて計4つのUSB3.2があり、ややこいです。
【x2】の意味ですが【USB3.2 Gen1とUSB3.2 Gen2】は1レーンで、【USB3.2 Gen1x2とUSB3.2 Gen2x2】は2レーンになります。2レーンだから【x2】で、データが通る道を1車線(1レーン)から2車線(2レーン)に増やした、という事です。
それで【USB3.2 Gen1x2】は【USB3.2 Gen1】の2倍の転送速度の10Gbpsを、【USB3.2 Gen2x2】は【USB3.2 Gen2】の2倍の転送速度の20Gbpsを実現しています。また【USB3.2 Gen2】と【USB3.2 Gen1x2】は共に10Gbpsの速度ですがレーン数の違いにより【USB3.2 Gen1x2】の方がケーブルを長くする事ができます。
まだ【USB3.2 Gen1x2】と【USB3.2 Gen2x2】の製品は出ていないですが、【USB3.2 Gen1】と【USB3.2 Gen2】と表記されている製品は出回っています。 それぞれ【USB3.0】と【USB3.1 Gen2】の事なので当然なのですが、これ混乱します。また先日、新たな「ややこしい」に遭遇しました。

ちなみにUSBの規格を策定している【USB-IF】も名称変更で混乱を招いてしまったと認めていて、【USB4】の仕様公開した時に【USB4】では混乱するような名称は付けないと明言しました。
2-3【転送速度に応じた名称とロゴ】
USBには転送速度に応じた名称とロゴが付けられています。【Low Speed】【Full Speed】【High Speed】【Super Speed】【Super Speed+】【Super Speed++】という名称があり、それぞれの速度とロゴが下になります。
下表にあるパッケージ上でのロゴというのは【製品が入っている箱に表記されるロゴ】の事で、ケーブル上でのロゴとは【ケーブルに直接、刻印(表記)されているロゴ】の事です。LowとFullのパッケージ上でのロゴは一緒で、LowとFullとHighのケーブル上でのロゴは一緒です。
名称 | 転送速度 | パッケージ上でのロゴ | ケーブル上でのロゴ |
---|---|---|---|
【Low Speed】 | 1.5Mbps 187.5KB/s | ![]() | ![]() |
【Full Speed】 | 12Mbps 1.5MB/s | ![]() | ![]() |
【High Speed】 | 480Mbps 60MB/s | ![]() | ![]() |
【Super Speed】 | 5Gbps 625MB/s | ![]() | ![]() |
【Super Speed+】 | 10Gbps 1.25GB/s | ![]() | ![]() |
【Super Speed++】 | 20Gbps 2.5GB/s | ![]() | ![]() |
【Super Speed++】というのは、USBを策定している【USB-IF】でのロゴのガイドのページ (PDFファイル) には載っていないのですが、ネット上ではチラホラ見られたので掲載しました。【Super Speed+】のロゴを改変して作ったので実際に存在するかは分かりません。
はじめは細かい数値で表記すると専門的で分かりづらく、一般的にするために転送速度に応じた分かりやすい名称を付けたと思いますが、こうも種類が増えてくると逆に分かりづらくなっています。そのためバージョン名や転送速度に応じた名称ではなく【転送速度の数値】で判別した方が間違いはないです。
最後にロゴについてですが、ロゴを取得するには【USB-IF】から認証を得ないといけませんのでコストがかかります。またケーブルにUSBのロゴを刻印するのにもコストがかかります。コスト削減のために認証を得ていなかったり、刻印しないという製品は普通にあります。
3【USBの端子】
USBはUSBケーブルを使って機器同士を接続すると利用可能になりますが、接続する部分の端子の形状は【ホスト】と【デバイス】で違っています。 ホストとは【パソコン】の事で、デバイスは【周辺機器】の事になり、ホスト側のパソコンに挿すのが【USB Type-A】、デバイス側の周辺機器に挿すのが【USB Type-B】と呼ばれる端子になります。ですのでUSBケーブルは片側が【Type-A】で、逆の片側が【Type-B】になります。

最近よく見かけるようになった【USB Type-C】というのは、ホスト側とデバイス側のどちら側にも挿せる端子です。端子の形状の他にも【Type-C】には色々な機能がありますが、それは後述する【Type-Cの項目】で詳しく説明します。

ホスト側(パソコンや充電器など)に挿す端子。
◆【Type-B】(USB-B、Standard-B、B端子、Bプラグなどと呼ばれる事も)
デバイス側(周辺機器のプリンター・デジカメ・外付けHDD・タブレット・スマホなどなど)に挿す端子。
◆【Type-C】(USB-C、C端子、Cプラグと呼ばれる事も)
ホスト側(パソコン)とデバイス側(周辺機器)の両方に挿せる端子。 その他にも盛りだくさんな機能を備えている。詳しくは後述。
下は【Type-A/B/C】端子の画像です。
ホスト (パソコン) ![]() USB Type-A | デバイス (周辺機器) ![]() USB Type-B | ホストとデバイス (パソコンと周辺機器) ![]() USB Type-C |
---|
3-1【端子の小型化】
【Type-B】には通常サイズの【USB Type-B】の他に小型な周辺機器(デジカメやスマホなど)に挿すための小型端子【Mini USB Type-B】と【Micro USB Type-B】があります。
当初は【Mini】が使われていましたが、より小型な【Micro】が登場すると【Mini】は使われなくなります。ちなみに【Type-C】は【Micro】と同程度の大きさです。
また【USB Type-A】を【USB-A】と略すように、【Mini USB Type-B】を【Mini-B】、【Micro USB Type-B】を【Micro-B】と略する事も多いです。
USB Type-B![]() USB-B | Mini USB Type-B![]() Mini-B | Micro USB Type-B![]() Micro-B |
---|
3-2【ピンについて】
USBケーブル内には【データを通す線】と【電力を通す線】などが入っていますが、その線は端子の部分で【ピン】と繋がっています。上の端子の画像で端子内部に見えている金属の部分が【ピン】です。ホスト(デバイス)側の端子とUSBケーブルの端子にある【ピン】が接地する事で、データや電力のやり取りを実現しています。
この【ピン】は【USB3.0】と【Type-C】の時に数が増えました。【ピン】の数を増やす事で、転送量を上げたり、流せる電力を上げる事ができるためです。

この【ピン数】はUSBのバージョン毎に決まっているため、USBのバージョン毎に使用される端子は決まっています。 ただし【Type-C】はUSB2.0から次世代のUSB4まで対応しています。詳しくは後述。
またUSB端子には【Mini USB-A】【Mini USB-AB】【Micro USB-A】【Micro USB-AB】という端子もありますが、現在ではあまり見られないため省略します。
3-3【USB1.0/1.1】と【USB2.0】の端子
【USB1.0/1.1】【USB2.0】 | ||||
---|---|---|---|---|
USB Type-A ![]() USB-A | USB Type-B ![]() USB-B | Mini USB Type-B ![]() Mini-B | Micro USB Type-B ![]() Micro-B | USB Type-C ![]() USB-C |
【USB1.0/1.1】と【USB2.0】で使われている端子は同じで、ピン数は【4ピン】になります。Type-Cは例外。
3-4【USB3.0】と【USB3.1 Gen2】の端子
【USB3.0】(USB3.1 Gen1 / USB3.2 Gen1) 【USB3.1 Gen2】(USB3.2 Gen2) | |||
---|---|---|---|
USB Type-A(3.0) ![]() USB-A(3.0) | USB Type-B(3.0) ![]() USB-B(3.0) | Micro USB Type-B(3.0) ![]() Micro-B(3.0) | USB Type-C ![]() USB-C |
【USB3.0】と【USB3.1 Gen2】で使われている端子は同じで、ピン数は【9ピン】になります。Type-Cは例外。【Type-A】は余裕のある大きさなので5ピン増えてもUSB2.0と同じ形状にできましたが、【Type-B】と【Micro-B】は増えたピン(5ピン)を入れるためにUSB2.0から形状が変更されています。 またUSB3.0では【Mini USB Type-B】が廃止されています。
3-5【USB3.2 Gen1x2】【USB3.2 Gen2x2】【USB4】の端子
【USB3.2 Gen1x2】【USB3.2 Gen2x2】【USB4】 |
---|
USB Type-C![]() USB-C |
【USB3.2 Gen1x2】【USB3.2 Gen2x2】【USB4】では【Type-C】だけになります。ピン数は【24ピン】です。
3-6【USB端子の着脱回数】
USBは端子を抜き差しして使用するため、抜き差しの耐久回数も規格内に入っています。下の表がそれです。【Micro-B】【Type-C】はスマホなどの充電に使われる事を想定しているため10,000回と多いです。
端子 | 回数 |
---|---|
【Type-A】 | 1,500回 |
【Type-B】 | 1,500回 |
【Mini-B】 | 5,000回 |
【Micro-B】 | 10,000回 |
【Type-C】 | 10,000回 |
3-7【USBケーブルの長さ】
USBのケーブルの長さも規格内で決まっています。USBのバージョン毎に違っていて、下の表がそれです。
バージョン | 長さ |
---|---|
【USB2.0】 | 5m |
【USB3.0】 (USB3.1 Gen1) | 3m |
【USB3.1 Gen2】 | 1m |
上記以上の長さが欲しい場合は【USB2.0】と【USB3.0】では【USBリピーターケーブル】という信号補正を行う特殊なケーブルがあり、それを使用すればケーブルの長さを規格以上にする事が可能です。
また【USBリピーターケーブル】は継ぎ足しが可能なため、2つ利用して【10m+10mで計20m】まで延長する、なども可能です。ただUSB規格外のメーカー独自の技術なため、どこまで延長できるかはメーカーや製品によって異なります。
4【USB Type-C】
【USB Type-C】は形状変化以外にも、いくつかの機能が盛り込まれており画期的な規格になっています。1つずつ見ていきましょう。
4-1【Type-Cの端子】
端子の形状がType-C独自の形状になり、Apple独自の【Lightning】と同様に端子の表裏がなくなったため、どちら側でも挿す事が可能なリバーシブル構造になりました。大きさは【Micro-B(2.0)】と同程度で、ピン数は【24ピン】と大幅に増えています。

Type-AとType-Bでは、Type-Aをホスト側(パソコンなど)に挿し、Type-Bをデバイス側(周辺機器)に挿すと決まっていましたが、Type-Cはホスト側とデバイス側の両方で利用可能です。
これにより両側をType-Cにする事で【24ピン】の機能をフルに使え、【USB PD】のロールスワップ機能も使え、ケーブルは1種類で済みます。今までは機器のサイズにより【標準サイズのType-B】、【MicroサイズのType-B】などと使い分ける必要がありました。
4-2【Type-Cの給電能力】
【Type-C】にはデフォルトで【1.5A/5V (7.5W)】と【3A/5V (15W)】の給電能力が備わっています。またオプションで【USB PD】にも対応しています。【USB PD】については後述。
USBのデフォルトの給電能力 | |
---|---|
【USB2.0】 | 500mA/5V (2.5W) |
【USB3.0】 | 900mA/5V (4.5W) |
【Type-C】 | 1.5A/5V (7.5W) 3A/5V (15W) |
4-3【オルタネートモード】
USB以外の信号も利用できるのが【オルタネートモード (Alternate mode)】です。要はUSBで扱う事のできる周辺機器がさらに増えるという事です。主に映像系の機器に対応しています。
またモニター(ディスプレイ)なら、従来は【HDMIやDisplayPortケーブル+電源ケーブル】の2本のケーブルを接続していましたが、このオルタネートモードなら【映像+電力】を1本のType-Cケーブル接続で実現できます。
映像で使われている規格。
◆HDMI
映像や音声で使わている規格。
◆VirtualLink
VRヘッドセットで使われている規格。
◆MHL
スマートフォンなどで使われている映像の規格。
◆Thunderbolt3
インテルとアップルが開発したUSBとは違うシリアルバス規格。
4-4【Type-Cの対応するUSBバージョンと規格】
【Type-C】はUSB2.0~USB4まで対応しています。 これは現在利用されているUSBと今後利用されるUSBの全てをカバーしています。また給電規格の【USB PD】とUSB以外の信号を扱う【オルタネートモード】にも対応しています。
【USB2.0】【USB3.0】【USB3.1】【USB3.2】【USB4】
◆対応する、その他の規格
【USB PD】【オルタネートモード】
気を付ける事は全ての【Type-C】で接続する機器やケーブルが上記の全てのバージョンや規格に対応はしない、という点です。次のType-Cの注意点で詳しく説明します。
4-5【Type-Cの2つの注意点】
1つ目の注意点。
Type-Cには様々な機能が盛り込まれていますが、全てのType-Cの機器やケーブルがType-Cの機能の全てを持っているとは限らない、という事です。具体的には【USB2.0のType-Cの機器】や【充電専用のType-Cケーブル】があったり、【USB PD】には未対応だったり、対応しても30Wまで対応や60Wまで対応など様々です。

ですので充電目的だったら、充電専用やUSB2.0で【USB PD】に対応したケーブルを購入すると値段を抑える事ができます。また高速でデータ転送したいのに値段に釣られて【USB2.0のType-Cケーブル】を買ってしまうと高速でのデータ転送ができません。Type-C対応の製品を購入する時は目的にあった機器やケーブルを選ぶ事が大切になります。
全てのType-Cの機器やケーブルが、Type-Cの機能の全部入りなら非常に分かりやすく間違いが起こらないと思いますが、そうするとUSB2.0で事足りる機器に無駄にUSB4を対応させてコストを上げるという事になります。使用できない機能を無駄に搭載して値段が高くなる、というのはいただけません。
2つ目の注意点。
USBケーブル全般にも言えますが、特にType-Cは上記のように様々なケーブルがあるため、ケーブルを見ただけで【どのようなType-Cのケーブルか?】を判断するのは難しいというか、無理です。色や長さが同じType-Cのケーブルがあったら、実際に機器に接続して速度や電力を測らないと、どのようなType-Cケーブルなのか判断できません。

解決策としては複数のType-Cケーブルを所持する場合は、色違いや長さの違うケーブルを買ったり、ケーブルにラベルを貼る・貼らないなどすると見ただけで判別できるようになります。
5【USBの給電能力】
USBには、はじめから給電能力が備わっていましたがモバイル機器などの充電やモーターを動かす事は想定外でした。 しかし現在ではUSBでスマホなどを充電する事は日常的な事ですし、ポータブルHDD、USBスピーカー、USB扇風機、USB電灯、USB保冷保温器などの製品もあります。
USBのバージョンアップで電力が上がった事と、【新たに作った給電専用の規格】の登場により、充電が可能になったりUSB関連の製品が生まれました。下が【給電規格】です。
USBの規格を決めている【USB-IF】が策定した規格。充電などが可能になりました。最も普及している規格で現在のスマホやタブレットは、ほぼ対応しています。
【メーカー独自の規格】
スマートフォンなどのメーカーが独自に作った規格。【USB BC】よりも高速に充電が可能ですが、作ったメーカー毎に規格が異なっていて互換性がないです。
【USB PD】
今後、普及する見込みの規格。【USB-IF】が策定。ノートパソコンなどの充電やモニター(ディスプレイ)への給電をも視野に入っており、最大100Wまで対応。また電力のやり取りを双方向で可能にする【ロールスワップ機能】があります。(後述)
【USB BC】【メーカー独自の規格】【USB PD】は、USBのオプション規格であって全てのUSB機器が対応しているわけではありません。 それらの規格に対応していないUSB機器は【USBバージョン毎のデフォルトの給電能力】になります。
要は【USBバージョン毎のデフォルトの給電能力】と【新たに作った給電専用の規格(オプション)】の2種類あるという事になります。まとめたのが下で【USB1.0と1.1】は【USB2.0】と同じなので省略します。上で紹介した【USB Type-C】は様々な機能があり、給電の機能もあるため入れています。
名称 | 給電能力 | 説明 |
---|---|---|
USB2.0 Low Power | 5V/100mA (0.5W) | 初期のUSB 【マウス】や【キーボード】への給電。 |
USB2.0 High Power | 5V/500mA (2.5W) | |
USB3.0 Low Power | 5V/150mA (0.75W) | 電力は上がったが まだ充電するには心もとない。 |
USB3.0 High Power | 5V/900mA (4.5W) | |
USB BC (オプション) | 5V/1.5A (7.5W) | 充電などを想定した規格。 |
メーカー独自の規格 (オプション) | 非常に多いため省略 | 【USB BC】よりも高速に充電できる メーカー独自の規格。 |
USB PD (オプション) | 最大100W | ノートパソコンの充電や モニター(ディスプレイ)への給電などを想定。 またロールスワップ機能も搭載。 |
USB Type-C | 1.5A/5V (7.5W) 3A/5V (15W) | 様々な機能を有している。 |
現在はメーカー独自の規格があるためUSBの給電規格は乱立していますが、充電に関しては今後【USB PD】1本に統一されていくと思われます。
5-1【USB BC】
【USB-IF】が策定した充電などに対応した規格で【BC】は【Battery Charging】の略です。現在のバージョンは【USB BC1.2】になります。
【USB BC】には3つの給電方式があります。USB2.0と同じ【SDP】、5V/1.5Aでデータ転送も可能な【CDP】、5V/1.5Aで給電専用(データ転送ができない)の【DCP】。
名称 | 給電能力 | データ通信 | 備考 |
---|---|---|---|
【SDP】 (Standard Downstream Port) | 5V/100mA (0.5W) 5V/500mA (2.5W) | ⭕ | USB2.0と同様。 |
【CDP】 (Charging Downstream Port) | 5V/1.5A (7.5W) | ⭕ | データ転送と給電の両方。 |
【DCP】 (Dedicated Charging Port) | 5V/1.5A (7.5W) | ❌ | 給電のみ。 安価にできる。 充電器などはコレ。 |
3つありますが【USB BC】というと普通は給電専用の【DCP】の事を指します。データ転送が必要ないため安価に充電器とケーブルを作れます。【USB BC】を採用したスマホやタブレットの充電器、カーチャージャー、モバイルバッテリーは【DCP】です。
5-2【メーカー独自の規格】
【USB BC】よりも高速に充電できるようにするため、メーカーが独自に作った規格。互換性はない。世界的に最も普及しているのが【Quick Charge】で、日本ではiPhoneが人気なため【Apple独自の規格】が最も普及していると思われます。
◆【Apple独自の規格】iPhoneが対応。
◆【BoostMaster】ASUSのスマホが対応。
◆【Super Charge】Huaweiのスマホが対応。
◆【Adaptive Fast Charging】Samsungのスマホが対応。
◆【AUTO POWER SELECT】Buffaloの充電器が対応。
この他にもありますが、SoCメーカー、Apple、スマホメーカー、充電器メーカーと様々なメーカーから出ているため種類が凄い事になっています。
また充電器やモバイルバッテリーで有名なAnkerの【Power IQ】は、充電規格ではなく接続された機器を自動的に検知し、その機器に適した最大のスピードで充電を行うことを可能にした技術の事です。
5-3【USB PD】
【USB-IF】が策定した規格で【PD】は【Power Delivery】の略です。現在のリビジョンは【USB PD3.0】になります。【USB PD2.0】まではType-A、Type-B、Type-Cが対応していましたが、現在の【USB PD3.0】ではType-Cのみ対応となっています。 【USB PD2.0】と【USB PD3.0】は互換性があるため【USB PD2.0】の機器に【USB PD3.0】の充電器を使う事はできます。
ノートパソコンの充電やモニター(ディスプレイ)への給電を可能にするために【最大100W】まで対応し、【0.5W~100W】までと給電幅も広いです。4つの電圧【5V・9V・15V・20V】に電流を最大3A、20Vは最大5Aを掛け合わせる事で0.5W~100Wまでを実現しています。
電圧を変えるというのはQualcommの独自規格【Quick Charge】のアイデアを取り入れています。また電圧については上記4つ以外の電圧、例えば12Vなどにメーカーが独自に変更する事も許容されています。
電圧 | 電流 | 電力 |
---|---|---|
5V | 0.1A~3A | 0.5W~15W |
9V | 1.7A~3A | 15.3W~27W |
15V | 1.8A~3A | 27W~45W |
20V | 2.25A~3A | 45W~60W |
20V | 3A~5A | 60W~100W |
全ての【USB PD】製品が100Wに対応しなくてよく、スマホなどは【18W】前後の充電器、ノートパソコンなどは【45W~100W】の充電器と、メーカーは製品によって自由に供給電力を決められます。

また【USB PD】は低い電圧にも対応する決まりになっているため、60Wの【USB PD】の充電器を持っていれば、それ1つでスマホ・タブレット・ノートパソコンとUSB PD対応の様々な機器に使う事ができます。

ただ60Wなどに対応した充電器は値段が高くサイズが大きいため、スマホだけを充電するのなら18Wぐらいの安価で小型な充電器で十分です。
また【USB PDの充電器】で【USB PD非対応の機器】に充電を行った場合ですが、【USB PD非対応の機器】が対応している充電規格で充電します。 候補にあがる充電規格は【USB2.0】【USB3.0】【Type-C】のデフォルトか、【USB BC】になり電圧は【5V固定】になります。ただしQualcommの【Quick Charge4/4+】だと【USB PD】と互換性があるため【USB PD規格】で充電されます。
【USB PD】のもう1つの大きな特徴は【ロールスワップ】機能を搭載している事です。【ロールスワップ】とは供給側と受給側を入れ替える事ができます。例えば【モバイルバッテリーでスマホを充電する】事はいたって普通ですが、ロールスワップでは【スマホでモバイルバッテリーを充電する】という事が可能になります。 もちろん【スマホで他のスマホを充電する】事も可能です。
ロールスワップの応用として、帰宅して【ノートパソコン】と【モニター(ディスプレイ)】を繋げてデュアルモニターで作業をしつつノートパソコンを充電。さらに【ノートパソコン】と【スマホ】を繋げてスマホ内の写真をノートパソコンに転送しつつスマホも充電、という事がモニターと繋がったコンセント1つで実現でき、ケーブルをスッキリさせる事も可能です。 【モニターとノートパソコン】【ノートパソコンとスマホ】の接続もUSB Type-Cケーブル1本ずつです。

他にもドッキングステーションを使ってさらに多くの機器と繋がりつつも、1つのコンセントで全ての機器を動かす事もできます。
最後に【USB PD】で気を付ける事は【USBケーブル】も【USB PD】に対応した製品が必要になるという事です。 現在の【USB PD】は【Type-Cケーブル】だけが対応していますが、【Type-Cケーブル】だからといって必ずしも【USB PD】に対応している、という事ではありません。【USB PD対応のType-Cケーブル】が必要になります。そのため【USB PD】の充電器では、間違えないようにケーブルと充電器が一体型になった製品も多いです。

さらに【USB PD】に対応していても【全てのUSB PD対応ケーブル】が100Wまで対応しているとは限りません。ですので【USB PD】対応の充電器やケーブルを買う時はワット数などを、きちんと確認して購入すれば間違いがないです。
6【USB OTG】

【USB OTG】は【USB On-the-GO】の略です。USBはホスト側(パソコン)とデバイス側(周辺機器)を接続する規格ですが、【USB OTG】はデバイス側(周辺機器)同士を接続可能にする規格です。


パソコン(ホスト)を介さずとも周辺機器(デバイス)同士、この場合はデジカメとプリンターでのデータのやり取りが可能になる、という事です。その他の日常的な利用方法としては【スマホとUSBメモリ】を接続してデータのやり取りを行うがあります。

簡単に【USB OTG】の仕組みを説明するとデバイス同士を接続しますが、どちらかのデバイスがホスト側になっています。 でないとUSB規格でデータのやり取りができないからです。【USB OTG】はデバイス同士を接続可能にする規格ですが、その実は片方のデバイスをホストに変更する規格という事になります。
上の画像では【デジカメ】と【スマホ】がホスト側になっています。
デジカメの場合、現在のデジカメなら【USB OTG】にほぼ対応しています。スマホの場合はAndroidは【Android3.1以降】から、iPhoneは【iOS7以降】から【USB OTG】を利用可能なため、現在のスマホは全て対応しています。
ただ多くのUSBメモリの端子はType-Aなため、スマホとUSBメモリを接続する時は【USB OTG対応の変換ケーブル】を使いType-CやMicro-Bなどへ変換し接続します。最近では端子がType-CのUSBメモリがあり、変換ケーブル無しでスマホとUSBメモリを接続できる製品も出てきています。
最後に現在の【USB OTG】の転送速度は【USB2.0の480Mbps】か【USB3.0の5Gbps】の2種類になります。 変換ケーブルなどを購入する時は転送速度に気を付けて下さい。
7【Wireless USB】
ワイヤレス(無線)のUSB規格ですが【Wi-Fi】【Wi-Fi Direct】【Bluetooth】が先に普及していたため、【Wireless USB】は普及しませんでした。今では対応製品は皆無です。