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Bluetooth規格まとめ

更新日 2020年12月6日 | 公開日 2020年12月6日

Bluetooth規格のトップ画像
目次
  1. Bluetoothとは?
    1. 主なBluetooth製品
  2. Bluetooth規格
    1. バージョンと通信速度
    2. Bluetoothの互換性とデュアルモード
    3. クラス(通信範囲)と電波法と技適マーク
    4. プロファイル
  3. Bluetoothのオーディオ・コーデックと音質と遅延
  4. ペアリング
  5. 同時接続台数とデュアルBluetooth
  6. 電波干渉
  7. セキュリティ
  8. 関連ページ

【Bluetoothとは?】

Bluetooth】(ブルーツゥース)は無線規格の1つです。パソコンやスマートフォンなどと様々な機器(イヤフォン、マウス、インターカム、自撮り棒などなど)とを無線で繋ぐ規格です。

同じく身近な無線規格に【Wi-Fi】(ワイファイ)がありますが、Wi-Fiは無線Lan規格の1つで無線Lanを搭載したパソコンやスマートフォン、ゲーム機や家電などを無線でインターネットに繋ぐ規格です。

Bluetoothは機器同士を繋ぐ規格で、Wi-Fiは機器をインターネットに繋ぐ規格となります。

BluetoothとWi-Fiの画像

余談になりますが無線Lan規格には機器同士を繋ぐ【Wi-Fi Direct】という無線規格もあります。無線Lanを搭載したパソコン・スマートフォン・テレビ・プリンターなどの機器同士を無線で繋ぎます。速度・安定性・セキュリティはBluetoothよりも上ですが対応機器が少ないため、あまり普及していません(無線Lanを搭載した全ての機器が対応しているわけではないため)。

またApple製品同士なら【AirDrop】、Android同士なら【Nearby Share】という無線でデータを送受信できるサービスがありますが、実は両サービス共に【Wi-Fi Direct】と【Bluetooth】の両方の技術を使っています。

【主なBluetooth製品】

Bluetooth規格について解説する前に、主なBluetooth製品の紹介。ちなみにBluetoothは汎用性の高い無線規格なため、一般製品以外の業務用製品にも広く使われています。業務用も含めると製品の種類は凄い事になると思います。

主なBluetooth製品の画像

上の画像のように【入力機器】(マウス・キーボード・ゲームパッドなど)と、【オーディオ機器】(イヤフォン・スピーカー・トランスミッター・ヘッドセット・インターカムなど)の2つが最も利用されているBluetooth製品になります。入力機器を買う時は気をつける事はあまりありませんが、オーディオ機器はBluetoothのオーディオ・コーデックが関わってくるため注意が必要です。オーディオ・コーデックについては下で解説しています。


主なBluetooth製品の画像2

他にもプリンターなどの【印刷機器】、体重計・体組成計・ウェアラブルデバイスなどの【ヘルス機器】、また【パソコンとスマートフォン】などでデータのやり取りなどでもBluetoothは利用されています。

ただパソコンとスマホ間やスマホ同士でのデータ転送は、上で紹介したApple製品同士(Mac iPad iPhone)なら【AirDrop】、Android同士なら【Nearby Share】を使った方が良いですし、【同じ無線Lanルーター (Wi-Fiルーター)】に接続しているならLan上でファイル転送をした方が速いです。さらに無線じゃなくて【有線接続】という手もあります。

それではBluetooth規格について見ていきます。


【Bluetooth規格】

Bluetooth規格はBluetoothの標準化団体【Bluetooth SIG 】(SIGはSpecial Interest Groupの略)が作りました。当初は【エリクソン、Intel、IBM、ノキア、東芝の5社】がプロモーター企業(規格を作り管理する企業)でしたが、現在は【MicrosoftやApple】などもプロモーター企業として参加しています。

Bluetooth規格にはUSBのようにバージョンがあり、バージョンアップする毎に通信速度が上がったり、省電力になったり、様々な機能が盛り込まれたりしています。この項目ではBluetoothの【バージョン】【通信速度】【クラス】【プロファイル】を見ていきます。

【バージョン】と【通信速度】

下はBluetoothのバージョン (Version)と通信速度の一覧表です。

バージョン変更点通信速度
(データレート)
【1.0】
1999年7月
最初のバージョン。
BR】(Basic Rate)。
1Mbps
【1.0B】
1999年12月
1.0に修正を加えたバージョン。
【1.1】
2001年3月
1.0Bに修正を加えたバージョン。
Bluetoothが普及したバージョン。
【1.2】
2003年11月
2.4GHz帯の無線Lanとの電波干渉の低減。
検索と接続の高速化。
音質の向上(ビットレートは64kbpsから100kbpsに)。
【2.0】
2004年11月
2Mbps/3Mbpsの通信速度を実現する
EDR】(Enhanced Data Rate)を追加。
3Mbps
【2.1】
2007年7月
Simple Pairing(高速で簡単なペアリング機能)と
Sniff Subrating(超低消費電力機能)の追加。
【3.0】
2009年4月
無線LAN規格を利用して24Mbpsの通信速度を実現する
HS】(High Speed)を追加。
24Mbps
【4.0】
2009年12月
大幅に省電力化された【LE】(Low Energy)を追加。1Mbps
【4.1】
2013年12月
Bluetooth LEのデータ転送を効率化、
LTEとの電波干渉を低減、自動再接続機能、
直接インターネットに接続する機能、
ホストとクライアント同時動作機能を追加。
【4.2】
2014年12月
Bluetooth LEのセキュリティを強化。
データパケットサイズを27バイトから251バイトへ拡張。
IPv6/6LoWPANでインターネットに接続できる機能を追加。
【5.0】
2016年12月
Bluetooth LEのデータレートが
2M、1M、500k、125kbpsに分けられ
2Mと1Mbpsは100m、500kbpsは200m、125kbpsは400mの
通信範囲になる。メッシュネットワーク対応。
2Mbps
1Mbps
500kbps
125kbps
【5.1】
2019年1月
ペアリングされているBluetooth機器の
方向を探知する機能を追加。
【5.2】
2019年12月
高音質・省電力の新オーディオ・コーデックLC3、
複数のオーディオ機器と接続するMulti Stream Audio、
周辺デバイスへの一斉送信ができるBroadcast Audio、
オーディオ・データ転送方式のLE Isochronous Channelを
盛り込んだ【LE Audio】を追加。

【1.0~1.2】は最初のBluetooth。【Bluetooth BR】(Basic Rate)と呼ばれる通信方式を使っています。速度は1Mbps。ここでBluetoothの基本は完成していて以降のバージョンアップは【速度アップ・省電力化・利便性アップ】などの機能の強化が主です。

【2.0と2.1】はオプションの通信方式に【Bluetooth EDR】(Enhanced Data Rate)が追加され、速度はEDRの場合は3Mbpsに。その他にペアリングの高速化、省電力化なども。

【3.0】はオプションの通信方式に【Bluetooth HS】(High Speed)が追加され、速度はHSの場合は無線Lan規格を利用するため24Mbpsと大幅にアップ。

【4.0~4.2】はオプションの通信方式に【Bluetooth LE】(Low Energy / BLE)が追加され、速度はLEの場合は1Mbpsとカナリ下がりましたが、省電力化も凄い事になり1回の充電でカナリ長い時間、機器を利用できるようになりました。それはバッテリーを小さくできるため機器の小型化も容易にしました。この速度よりもバッテリーの持ちを重視した方が良いという選択は大きな成功となりBluetoothの普及をさらに加速させます。

【5.0~5.1】はオプションの通信方式の【Bluetooth LE】が改良され、速度はLEの場合は2Mbpsになります。また通信速度を【2M・1M・500k・125k】の4つに分けることで通信範囲を拡張しました。

【5.2】では1番ホットなBluetooth製品のオーディオ機器へのテコ入れが行われ【LC3】というSBCに変わる新しい標準オーディオ・コーデックの追加をはじめ、いくつかのオーディオ系の機能追加がなされています。この【5.2】の一連のオーディオ系の機能追加は【LE Audio】と呼ばれます。この【5.2】もオプションの通信方式【Bluetooth LE】を改良したバージョンアップです。


何度も【オプションの通信方式の〇〇】と出てきましたが、Bluetoothは【1.0】からある【BR】が基本の通信方式でその他はオプション(必須ではない)の通信方式になります。ですので【Bluetooth 4.0対応】という製品があっても必ずしも【EDR】【HS】【LE】での通信に対応しているとは限りません。

次の項目でBluetoothの互換性について見ていきます。

【Bluetoothの互換性とデュアルモード】

各バージョンでの通信方式の一覧表が下記です。さらにその下は各通信方式についての一覧表。

バージョン必須の通信方式オプションの通信方式
1.0~1.2【BR】なし
2.0~2.1【BR】【EDR】
3.0【BR】【EDR】【HS】
4.0~4.2なし【BR】【EDR】【HS】【LE】
5.0~5.2なし【BR】【EDR】【HS】【LE】
通信方式特徴最大通信速度
(データレート)
BR
(Basic Rate)
はじめからある通信方式
また【3.0】までは必須の通信方式
1Mbps
EDR
(Enhanced Data Rate)
高速な通信方式3Mbps
HS
(High Speed)
超高速な通信方式24Mbps
LE
(Low Energy)
省電力の通信方式
【5.x】のバージョンでさらに改良
1Mbps
【5.0】からは2Mbps

【1.0】~【3.0】までは【BR】が必須の通信方式でしたので【製品にBluetooth 2.0】とあれば【BR】の通信方式で通信する(EDRでは通信できない)製品で、【製品にBluetooth 3.0+HS】とあれば【BR】と【HS】の2つの通信方式で通信する(これもEDRでは通信できない)製品という事になります。

【4.0】になると必須の通信方式が廃止され全ての通信方式がオプション扱いとなり、メーカーが任意で通信方式を決められるようになります。 そのため【3.0以前】と【4.0以降】では互換性がないとよく言われていますが、Bluetooth4.0の製品でも【BR】の通信方式採用すれば、3.0以前の製品とも接続できますし、【EDR】や【HS】を採用すれば3.0以前の製品で【EDR】や【HS】に対応した製品とは接続できます。分かりにくいので例を下に書きます。

◆Bluetooth製品の通信方式の表記例

・【Bluetooth 1.0】とあれば【BR】のみで通信。
・【Bluetooth 2.0】とあれば【BR】のみで通信。
・【Bluetooth 2.0+EDR】とあれば【BR】【EDR】の2つの通信に対応。
・【Bluetooth 3.0+HS】とあれば【BR】【HS】の2つの通信に対応(EDRには未対応)。
・【Bluetooth 4.0+EDR/LE】とあれば【EDR】【LE】の2つの通信に対応(BRとHSには未対応)。ただし製品によっては【BR】で通信できたりもします。

という感じになります。

互換性がないのは【LEのみを採用した製品】と【3.0以前の製品】です。【LE】を採用した3.0以前の製品は存在しないため互換性がない、となります。

・【Bluetooth 4.0+LE】もしくは【Bluetooth LE】とあると【LE】のみで通信(BR・EDR・HSには未対応)。

ただし接続元のパソコンやスマートフォンは【BR】【EDR】【LE】には対応しているため互換性についてあまり気にしなくて大丈夫です(古いパソコンやスマホだと【LE】には未対応かもしれません)。

これはパソコンやスマホなどには【BR】と【EDR】を統合したICに、さらに【LE】のICをも統合したBluetooth ICが搭載されているためです。この【BR・EDR】と【LE】に対応している事を【デュアルモード】と呼びます (下で解説しているデュアルBluetoothとは別物です)。

Bluetooth ICの画像

ですので互換性についてはあまり気にしなくて大丈夫です。現在のパソコンやスマホならBluetooth3.0(BR)のマウスやキーボードとも、Bluetooth LEのイヤフォンとも接続できます。


余談ですが、以前【Bluetooth SMART READY】【Bluetooth SMART】という表記がありました。

Bluetooth SMART READYのロゴ画像 Bluetooth SMARTのロゴ画像

【Bluetooth SMART READY】は【BR・EDR・LE】の通信方式に対応した製品(デュアルモード対応製品)を表し、【Bluetooth SMART】は【LE】のみの通信方式に対応した製品を表すのに使われていました。現在はこの表記方法は廃止されましたが、慣例的に今でも使われている事はあります。


【クラス (通信範囲)】と【電波法と技適マーク】

Bluetoothのクラス(Class)は【電波強度】を表しています。クラスは【Class 1Class 2Class 3】の3つがあり、出力が高いほど(クラスが低いほど)通信可能な範囲も上がります。Class 1は100m前後まで到達できますが製品や環境により変わってきます。Bluetoothのインターカムでは数百mまで到達可能と謳っている製品もあります。

クラス出力通信範囲
Class 1100mW100m
Class 22.5mW10m
Class 31mW1m

Bluetooth製品は【Class 2】が主流で、Class 2の通信範囲は10m前後まででBluetooth製品のほとんどが10mもあれば十分なためClass 2が主流となっています。【Class 3】の通信範囲は1m前後で対応製品は少ないです。また通信範囲が広いほど消費電力も上がるため【Class 1】の製品も多くはありません。


なかなかないと思いますが、海外のECサイト(ネットショッピングサイト)でBluetooth製品を買う場合は注意が必要です。 各国には独自の電波法が定められていて、ある国では許可されている製品(電波強度)でも他の国では違法となるケースがあります。日本では技適マークのついた製品だと日本の電波法をクリアーしている製品となります。逆に技適マークのついてない製品は使ったらダメです。下の画像が技適マークのロゴ画像。電波法は無線の法律なのでBluetooth以外にも無線Lan(Wi-Fi)、ドローン、アマチュア無線などの機器も適応されます。

技適マークの画像

ただ日本国内でBluetooth製品を買うなら電波法は気にしなくてオッケーです。日本メーカー製なら、さらに安心です。

【プロファイル】

Bluetoothのプロファイル (Profile)とは【対応する機器の種類】と考えてオッケーです。

対応プロファイルに
A2DP】とあれば、イヤフォンやスピーカーで音声を聞けます。
HSP・HFP】とあれば、ヘッドセットで通話ができます。
HID】とあれば、マウス・キーボード・ゲームパッドが使えます。
FTP】とあれば、パソコンとスマホ間などでデータ転送ができます。

注意点として双方の機器が使いたいプロファイルに対応している必要があります(片方だけ対応だと、そのプロファイルは使えません)。

下はプロファイルの一覧表になります。バージョンアップでドンドン増えたので非常に数が多く下記以外にもあると思います。

3DSP3Dメガネとテレビを繋ぐためのプロファイル。
A2DPヘッドフォン・イヤフォン・スピーカーに伝送するためのプロファイル。
ANP音声・メール着信を通知するプロファイル
AVPA2DP+AVRCPの通称。
AVRCPAV機器のリモコン機能を実現するためのプロファイル。
BIP画像を転送するためのプロファイル。
BLP血圧計から血圧情報を伝送するためのプロファイル。
BPPプリンターへ転送・印刷するためのプロファイル。
CPPサイクリング時の力などの情報を伝送するためのプロファイル。
CSCPサイクリング時のスピードや回転数などの情報を伝送するためのプロファイル。
DIPデバイス固有の情報を提供するためのプロファイル。(DIと呼ばれる事も)
DUN携帯電話・PHSを介してインターネットにダイヤルアップ接続するためのプロファイル。
FAXPCなどからFAX送信を行なうためのプロファイル。
FMP見失ったBluetooth機器を探すためのプロファイル。
FTPパソコン同士でデータ転送を行うためのプロファイル。
GAP機器の接続・認証・暗号化を行うためのプロファイル。
GATTこれまで異なっていた単機能デバイスの接続を共通の枠組みで行うためのプロファイル。
GAVDPビデオストリームやオーディオストリームを配信するためのプロファイル。
GOEPデバイス間でオブジェクト転送をするためのプロファイル。
GLP血糖値の情報を伝送するためのプロファイル。
GNSSGPSなどの測位情報を伝送するためのプロファイル。
HCRPプリンターへの出力を無線化するためのプロファイル。
HDP健康管理機器同士を接続するためのプロファイル。
HFP車内やヘッドセットでハンズフリー通話を実現するためのプロファイル。
HIDマウスやキーボードなどの入力機器を無線化するためのプロファイル。
HOGPマウスやキーボードなどを接続するプロファイル。
HRP心拍計の情報を伝送するためのプロファイル。
HSPBluetooth搭載ヘッドセットと通信するためのプロファイル。
HTP体温計の情報を伝送するためのプロファイル。
IPSPIPv6 / 6LoWPAN経由でインターネットに接続するプロファイル。
MAPデバイス間でメッセージオブジェクトを交換するためのプロファイル。
OBEXオブジェクト交換 (OPP、BIP、FTP、SYNC) で用いる認証方式の一つ。データ転送プロファイルの一つで、実装しているとデータ送受信時にOBEX認証パスキーの入力を接続相手に要求する。
OPP他のBluetooth機器にデータを送信するためのプロファイルです。
PAN小規模ネットワークを実現するためのプロファイル。
PASP電話着信時の鳴動などを他の機器から止めるためのプロファイル。
PBAP電話帳のデータを転送するためのプロファイル。
PXP対応する機器と組み合わせる事で接続したパソコンにセキュリティロックを行うためのプロファイル。
RSCPランニング時のスピードや歩幅などの情報を伝送するためのプロファイル。
ScPP装置のスキャンをするためのプロファイル。
SDAP他のBluetooth機器が提供する機能を調べるためのプロファイル。
SPPBluetooth機器を仮想シリアルポート化するためのプロファイル。
SYNC携帯電話・PHSやPDAと、PCとの間でスケジュール帳や電話帳のデータ転送を行い、自動的にアップデートするためのプロファイル。
TIP時刻と時間帯の補正を行うプロファイル。
VDPビデオカメラとモニタ間などで、ビデオデータをストリーミング配信するためのプロファイル。

【Bluetoothのオーディオ・コーデックと音質と遅延】

Bluetoothのオーディオ製品はA2DPプロファイルで音声データを送受信していますが、音声データのサイズは大きいためBluetoothで送信する場合、音声データを圧縮してから送信する、という手順を踏みます。この圧縮する方法を【オーディオ・コーデック】と呼びます。

オーディオ・コーデックの違いにより音質や遅延も違ってきます。下表はBluetoothの【オーディオ・コーデック】と、その【音質・遅延・特徴】をまとめたモノです。

オーディオ
コーデック
音質遅延特徴
SBC普通
0.22秒前後
A2DPプロファイルの標準コーデック
Bluetoothオーディオ製品はほぼ必ず対応。
AAC高音質
0.12秒前後
(128kbps時)
iPhoneなどのApple製品はコレ。
aptX高音質
0.07秒前後
多くのAndroid製品が対応。
aptX LL高音質極小
0.04秒前後
動画やゲーム用途はコレ。
aptX HDハイレゾ相当
0.13秒前後
音楽を聞くのに向く。
aptX Adaptiveハイレゾ相当
0.05~0.08秒
動画やゲーム、さらに音楽を聞くのにも向く。
LDACハイレゾ相当
最も音質が良い
極大
最大1秒前後
音楽を聞くのに向く。
SONY製品とAndroid8.0以降のスマホが対応。
LC3ハイレゾ相当小(おそらく)SBCに変わる標準コーデック。
Bluetoothバージョンの【5.2】から対応。

SBC】は標準コーデック、【AAC】はApple提唱のコーデック、【aptX系】はQualcomm提唱のコーデック、【LDAC】はSONY提唱のコーデック、【LC3】は次世代の標準コーデックとなります。

SBCよりも高音質で低遅延のコーデックのAAC、aptX系、LDACと出てきますが対応製品が限られるのが問題でした。 例えばiPhoneでaptx HDに対応したイヤフォンを使うとSBCになってしまい、iPhoneで高音質を求めるとAACに対応したイヤフォンでないとダメなどと、ややこしい事になっています。

まだ製品が出回っていませんが、次世代の標準コーデック【LC3】はBluetoothのバージョン5.2以降なら全てのBluetoothのオーディオ製品が対応するため、おそらく今後はLC3に統一されていくと思われます。

音質と遅延についてですが、音質の良いオーディオ・コーデックは音楽の再生に向き遅延が少ないオーディオ・コーデックは動画やゲームなどに向いています。 音楽を聞くだけなら遅延があっても気になりませんが、映像と音声の2つが合わさった動画やゲームでは遅延があると音声が映像よりも遅れて聞こえるため映像と音声がズレてしまい気になるためです。

【ペアリング】

Bluetoothは機器同士をペアリング (Pairing)してはじめて使用できます。ペアリングとは互いの機器同士を登録し合う事です。

パソコンA】と【マウスA】をペアリング(登録)し【マウスA】で【パソコンA】を操作できるようにします。そうする事で他のマウスの【マウスB】を動かしても【パソコンA】とはペアリング(登録)されていないため【パソコンA】を【マウスB】で操作する事ができません。この機器同士の登録をペアリングと言います。
ペアリングの画像1
ペアリングは1度行うと以降は必要ありませんが【マウスA】を【パソコンB】などの他の機器で使用する場合はペアリングが必要になります。ペアリングをすると【マウスA】を【パソコンB】で操作可能になりますが【パソコンA】とのペアリングは外れるため【マウスA】で【パソコンA】を操作できなくなります(再度パソコンAとペアリングをすれば操作可能になります)。
ペアリングの画像2

複数台の機器で使用したい方にとっては、いちいちペアリングするのは面倒くさいので【マルチペアリング】という複数台の機器とペアリング可能なペアリング方法が生まれました。マルチペアリングに対応した機器で使用可能です。下の画像はlogicoolのマルチペアリングに対応したマウス【MX ANYWHERE 3】のマウス裏側の画像で、3つの機器とペアリングができボタンを押し接続する機器を選びます。

マルチペアリングの画像

もちろんマルチペアリングは【Windows】【MacOS】【iPadOS】【iOS】【Android】【Chrome OS】【Linux】とOSをまたいでも使えます。便利です。


ペアリングする際は【両機器の電源を入れる】【ペアリングボタンを長押しして認識させる】【ペアリングを完了する】という風な手順が必要で、ちょっと面倒くさいです。しかし【NFCペアリング】という両機器を近づけただけでペアリングが完了するという便利なペアリング方法があります。

NFCはNear Field Communicationの略でSuicaや楽天Edyなどの電子マネーでおなじみのSONYのFelica技術を使った超短距離の無線通信規格です。その技術を使う事でNFCペアリングに対応した機器同士を近づけるだけでペアリングが完了します。


最後に【マルチポイント】について。マルチペアリングと似ていますが、コチラは同時使用も可能です。例えばヘッドセットをスマホ2台とペアリングすると両方のスマホの待受が可能というモノ。ただ非常にニッチな用途で対応製品も多くはないです(テレワークをバリバリする方には便利かも?)。


【同時接続台数とデュアルBluetooth】

同時接続台数はBluetoothのバージョン【3.0以前】と【4.0以降】で変わってきます。

3.0以前】で同時に接続できるBluetooth機器数は【7台】でした。しかし実際に安定した通信が可能なのは【4台ぐらいまで】で、それ以上接続すると安定した通信が望めない場合があります。 使用環境や機器によっては、それ以上やそれ以下になる事もあります。

4.0以降】で同時に接続できるBluetooth機器数は【無制限】となります。ただし【3.0以前】と同じように使用環境や機器によって上下します。安定して通信できる数は【4台ぐらいまで】と考えた方がいいです。

またバージョンに関わらず同じプロファイルの機器は同時接続できません。 例外としてペアリングの【マルチポイント】に対応した機器や、Bluetooth5.2(LE Audio)の【Broadcast Audio】(複数のオーディオ機器へ音声を一斉送信)に対応した機器なら同じプロファイルでも同時接続が可能です。が、基本的には同じプロファイルで接続できるのは1台までとなります。

もう1つ例外として【デュアルBluetooth】があります。1台のスマートフォンから2台のイヤフォンやスピーカーへ音声データ(A2DP)を送信できます。BluetoothのICチップを2つ搭載する事で実現しています。【デュアルBluetooth】の他に【デュアルオーディオ】とも呼ばれています (上で解説しているデュアルモードとは別物です)。

【電波干渉】

【Bluetooth】は2.4GHz帯を使った無線通信ですので、同じく2.4GHz帯を使った【電子レンジ】や【無線Lan】(Wi-Fi)などと電波干渉を起こす場合があります。もちろん電波干渉への対策は施されていますので普通は気にしなくて大丈夫ですが、ゼロではありません。

【セキュリティ】

クラッカーの画像

Bluetoothの脆弱性をつかれて無線通信の中身を見られたり、パソコンやスマートフォンのデータを抜かれたりする場合があります。もちろんBluetoothにはセキュリティ対策は施されていますし、バージョンアップ毎に強固にはなっていますが完璧ではありません。

自分でできる対策としてはBluetooth機器を使っていない時はパソコンやスマートフォンのBluetoothをオフにすると良いです。そうする事でカフェなどの不特定多数の人間が集まる場所で悪意のある人物がBluetoothの脆弱性をついた攻撃を仕掛けてきても、Bluetoothがオフになっていると攻撃のしようがないため非常に有効です。

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