【HDMI】と【DisplayPort】
更新日 2022年9月24日 | 公開日 2022年9月24日

- ◆【HDMI】と【DisplayPort】について
- ◆HDMIとDisplayPortの端子画像
- ◆HDMIとDisplayPortの帯域幅
- ◆HDMI・DisplayPortのケーブルと変換
- ◆DisplayPortの数珠つなぎ(デイジーチェーン)について
- ◆DisplayPortのスリープ問題について
【HDMI】と【DisplayPort】について
【HDMI】【DisplayPort】共に映像の通信規格です。
【HDMIはいくつかの家電メーカーが集まって策定した規格】で、主にテレビ・レコーダー・オーディオ機器・ゲーム機などの家電製品に採用されています。【DisplayPortはVESAが策定した規格】で、主にパソコンやパソコンの周辺機器に採用されています (VESAは、VESAマウント規格やDisplay HDRなども策定しています)。認知度や普及率はHDMIの方が上で、性能はDisplayPortの方が上です。 ※DisplayPortは以降DPと表記します。

HDMI、DP共に映像以外にも音声などを流せます。 例えばゲーム機とテレビ(スピーカー搭載モニター)を接続すると映像+音声の送受信を1本のケーブルでまかなえます。注意点はDPは音声についてはオプション扱いなので全てのDP搭載機器が音声を流せるというわけではないです。その他にHDRデータも流せます。
HDMIは機器に搭載するのにライセンス料がかかり、DPはライセンスフリーなため導入コストはHDMIの方が高くなります。が、DPのケーブルの両端には制御ICが必要なためケーブルの製造コストはDPの方が高くなります。
【HDMIとDisplayPortの端子画像】
下は【HDMI】【DisplayPort】の端子の画像です (ケーブル側)。その他の映像端子として【USB Type-C】【D-sub】【DVI】の画像も載せています。
HDMI | Mini HDMI | Micro HDMI |
---|---|---|
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DisplayPort | Mini DisplayPort | USB Type-C |
---|---|---|
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D-sub | DVI-D シングルリンク | DVI-D デュアルリンク |
---|---|---|
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下は簡単な解説。
現在の主流の1つ。1.0~2.1とバージョンアップしてきました。バージョン的には1.4と2.0が主流で、今後2.1が普及。端子の形状を小さくした【Mini HDMI】と、さらに小さくした【Micro HDMI】があります。
◆DisplayPort
コチラも現在の主流の1つ。1.0~2.0とバージョンアップしてきました。バージョン的には1.2と1.4が主流で、今後2.0が普及。端子の形状を小さくした【Mini DisplayPort】があります。
◆USB Type-C
USB Type-CのAlt Mode (Alternate Mode / オルタネートモード)にはDisplayPortとHDMIなどと互換性があります。実際に使用されているのはDisplayPortのオルタネートモードが大半。
要はDP端子をUSB-C端子に変換した感じ。ただUSBなので映像と音声の他にデータや電力も送受信可能。USB-C (DP Alt Mode 1.2)などと表記されていたらコレ。オプション規格なので全てのUSB Type-Cが対応しているわけではありません。主にノートパソコンやスマートフォンなどで活用されています。
◆D-sub (D-sub 15ピン)
古い規格なため、この端子がモニターやパソコンに付いていても使われる事は少ないと思います。【VGA端子】とも呼ばれます。
◆DVI
D-subの次に出てきた端子でHDMIやDPの1つ前に使用されていた端子。現在でもチラホラ見かけます。【アナログのDVI-A】【デジタルのDVI-D】【アナログとデジタル両対応のDVI-I】の3種類ありますが、主に使われているのは【デジタルのDVI-D】になります。 そしてDVI-Dには【シングルリンク (SL)】と【デュアルリンク (DL)】の2種類があります。デュアルはシングルよりも倍の性能(帯域幅)があります。
【HDMIとDisplayPortの帯域幅】
【HDMI】と【DP】には送受信できる最大の帯域幅 (伝送速度)があります。要はHDMIとDPのスペックの話です。バージョン毎にアップしていきます。帯域幅で最大の解像度、リフレッシュレート、表示色数などが変わってきます。 大きいほどスペックが上になります。下はバージョン毎の最大の解像度とリフレッシュレートの表。
端子 | FHD (1920 x 1080) | WQHD (2560 x 1440) | 4K (3840 x 2160) |
---|---|---|---|
【DVI シングルリンク(SL)】 | 60Hz | ❌ | ❌ |
【DVI デュアルリンク(DL)】 | 144Hz | 60Hz | ❌ |
【HDMI 1.4】 | 144Hz | 60Hz | 30Hz |
【HDMI 2.0】 | 240Hz | 144Hz | 60Hz |
【HDMI 2.1】 | 240Hz以上可 | 240Hz | 120Hz |
【DisplayPort 1.2】 | 240Hz | 165Hz | 75Hz |
【DisplayPort 1.4】 | 240Hz以上可 | 240Hz | 120Hz |
おおまかに【HDMI 2.0】と【 DisplayPort 1.2】が、【HDMI 2.1】と【DisplayPort 1.4】が同じような性能となっています。ウルトラワイドの解像度にはHDMIは【HDMI 2.0】から、DPは【DP1.2】から対応しています。
注意点は、帯域的には144Hz出せるのに120Hzが上限などの製品があるという事です。 解像度がFHDの場合だと、DVI(DL)とHDMI(1.4)でも120Hzが上限や、DP(1.2)でも144Hzや165Hzが上限などの製品があります。
もう1つ注意点があり、複数の映像端子を持ったモニターでは接続する端子によってスペックが変わる事がある、という事です。例えばFHDで165Hzというスペックのモニターでも【DP接続だと165Hz】のスペック通りに動きますが、【HDMI接続だと144Hz】に下がるなどです。これはDPのバージョンが1.2でHDMIのバージョンが1.4のモニターで起こります。
【HDMI・DisplayPortのケーブルと変換】
HDMI、DP共にバージョンに合ったケーブルが必要になります。【HDMI 1.4】なら【HDMI 1.4対応のケーブル、もしくはHDMI 2.0対応のケーブル】、【DP1.2】なら【DP1.2対応のケーブル、もしくはDP1.4対応のケーブル】 という具合にです。
DPのケーブルは【DP1.2対応】や【DP1.4対応】とバージョン名をそのまま使っているので分かりやすいですが、HDMIはバージョンではなくバージョン毎にケーブルに名称を与えています。現在は4つも名称があるため分かりにくくなっています。ケーブル購入時には気を付けて下さい。下記がHDMIのバージョンとケーブル名称についての表。語感ではウルトラよりもプレミアムの方が上に感じられてややこしいです。
HDMIバージョン | ケーブル名称 |
---|---|
【HDMI 1.0~1.2】 | Standard HDMI Cable (スタンダードHDMIケーブル) |
【HDMI 1.3~1.4】 | High Speed HDMI Cable (ハイスピードHDMIケーブル) |
【HDMI 2.0】 | Premium High Speed HDMI Cable (プレミアム・ハイスピードHDMIケーブル) |
【HDMI 2.1】 | Ultra High Speed HDMI Cable (ウルトラ・ハイスピードHDMIケーブル) |
HDMI、DPの変換ついては【HDMI↔DP】【HDMI↔DVI】【DP↔DVI】と自由に変換できますが、機能が制限される事があるため注意が必要です。 解像度・リフレッシュレート・表示色数が下がったり、音声やHDRデータが流せなくなったりします。
【DisplayPortの数珠つなぎ(デイジーチェーン)について】
DPの数珠つなぎ(デイジーチェーン / Daisy Chain)についてですが、通常3画面にする場合は映像端子を3つ使い3画面を実現します (パソコンに映像端子が3つないとできない)。しかしDPのデイジーチェーンならパソコンの映像端子はDP端子1つで実現できます。残りの2つのモニターはモニター同士でDP接続します。2画面も可能。 これは【DisplayPort MST (Multi Stream Transport / マルチ・ストリーム・トランスポート)】と呼ばれる機能です。

もちろん全てのDPを搭載したモニターが対応しているわけではなく、DisplayPort MST (デイジーチェーン)に対応したモニター(DP出力のあるモニター)が必要になります。また解像度やリフレッシュレートは1つのモニターに接続する場合よりも下がります。
【DisplayPortのスリープ問題について】
モニターをDPで接続している場合にパソコンをスリープから復帰させると【アイコンやウィンドウの配置やサイズが変わってしまう】という事が起こります。これは不具合ではなくDPの仕様です。
DPはスリープになると接続を完全に切断する仕様になっていて、これはDPケーブルを引っこ抜いたのと同じ状態になります。それでパソコンがモニターが切断されたと認識し【アイコンやウインドの配置やサイズが変わってしまう】という事が起こります。DPのバージョンはドンドン上がっているのに、この問題はいっこうに対応されません。
◆そもそもスリープを使わない。
最近のパソコンは起動時間が短いのでスリープ自体を使わないという選択。
◆対策ソフトを使う。
【Monitor Keeper】【KeepDesk】【KH DeskKeeper2018】などのDPのスリープ問題対策ソフトを常駐させる解決法。これでだいたいは上手くいきます。※リンク先はGoogleでの各ソフト名を検索にかけたページに飛びます。
◆対策されたアダプターを買う。
対策されたアダプターを経由する事でスリープ問題を解決。難点はアダプターが希少で普通に売っていない事。
◆対策されたモニターを買う。
上記のアダプターの機能がモニターに最初から内蔵されている。難点は対策されたモニターが少ない事。
他にも【OSで設定する】【DPとHDMI(DVIやD-subでも可)の2本差し】などがありますが、上手く行かない事があります。