ゲーミングモニターの選び方
更新日 2022年1月13日 | 公開日 2020年9月1日
Tweet
このページは自分に合った自分にとって良いゲーミングモニターを選べるようになるために、初心者向けに分かりやすく丁寧に解説したページです。
- ◆1 ゲーミングモニターとは?
- ◆2 スペックの見方
- ・2-1 モニターの種類
- ・2-2 液晶パネルの種類
- ・2-3 画面アスペクト比と画面解像度と画面サイズ
- ・2-4 視野角
- ・2-5 表面処理
- ・2-6 平面モニターと曲面モニター
- ・2-7 リフレッシュレート
- ・2-8 応答速度とオーバードライブ
- ・2-9 垂直同期
- ・2-10 色空間と色域
- ・2-11 表示色
- ・2-12 輝度
- ・2-13 コントラスト比
- ・2-14 HDRとDisplay HDR
- ・2-15 位置調節とモニタースタンドとVESA規格
- ・2-16 ベゼル
- ・2-17 OSDの操作方法
- ・2-18 モニターの付属品
- ・2-19 モニターのサイズと重量の表記について
- ◆3 接続方法
- ・3-1 HDMIとDisplayPortについて
- ・3-2 HDMIとDisplayPortのケーブルとDisplayPortの数珠つなぎ(デイジーチェーン)について
- ・3-3 DisplayPortのスリープ問題について
- ・3-4 その他の接続
- ◆4 機能について
- ・4-1 モーションブラー軽減機能
- ・4-2 明るさ調整機能
- ・4-3 表示機能
- ・4-4 ボヤけを軽減する機能
- ・4-5 PIP機能とPBP機能
- ・4-6 眼精疲労を軽減する機能
- ・4-7 KVM機能
- ◆5 選び方
- ◆6 目を大切に
1【ゲーミングモニターとは?】
ゲーミングモニターと一般向けのモニターでの1番の違いは【リフレッシュレート】になります。詳しくは下で解説していますがリフレッシュレートが高いと視認性が高まります。特に【FPS・TPS・MOBA・RTS】などの対戦ゲームでは視認性が非常に重要です。
一方で、綺麗な画面や大画面でゲームをしたい方や、4Kやウルトラワイドなどの高解像度でゲームをしたい方もいます。またパソコンではなくゲーム機(PS4やSwitchなど)でゲームをプレイする方もいます。その様々なニーズに答えるためゲーミングモニターは種類が非常に多くなり、選ぶのが大変な状況になっています。
このページでは【スペックの見方】【接続方法】【機能】と3つに分けてゲーミングモニターについて解説し、その後に【ゲーミングモニターの選び方】について解説します。また最後に【目を大切に】という項目も作っています。
このページは長くなっていますので要点だけを知りたい方は下の【選び方】へ飛んで下さい。
2【スペックの見方】
モニターのスペックを1つずつ見ていきます。
2-1【モニターの種類】
モニターにはいくつかの種類があり、以前は【ブラウン管】が主流でした。現在は【液晶】が主流で、【有機EL (OLED)】も出始めました(iPhoneに採用された事で一気に知名度が上がった)。また有機ELの次は【マイクロLED】になると言われています。
まず現在主流の【液晶 (LCD / Liquid Crystal Display)】について解説します。ポイントは【バックライトが必要でバックライトに使われるLEDは白色の1種類】【液晶パネルで光を制御】【カラーフィルターで色を作る】という事。実際はもっと多層な構造ですが【バックライト・液晶パネル・カラーフィルターの3層構造】になります。

液晶パネルの部分には主に【TNパネル・IPSパネル・VAパネル】の3種類があり、パネルによって特性が違ってきます。液晶パネルについては下で解説しています。
次に【有機EL (OLED)】について。青色LEDが発明された事により、液晶パネルのカラーフィルター部分を【赤・緑・青(RGB)の3つのLEDにし、光らせ制御させれば3層を1層にできるかも!?】という事で生まれたのが有機ELとイメージすると分かりやすいと思います。

3層から1層になったため液晶よりもさらに薄くなり、折り曲げる事も可能で、消費電力も少なくなりました。画質の点ではLEDを消す事で黒を表現するため黒が本当の黒になりました(液晶は黒を表現する時もLEDを光らせる必要があるため明るい黒のような感じ)。
ただし【焼き付き】が起こりやすいという問題があります。焼き付きとは画面に同じ表示を映し続ける事で、その表示が画面上に焼き付いて残ってしまう現象です。特にゲームはUI(ミニマップや装備やスキルや情報系などなどの表示)をゲーム中ずっと同じ場所に映し続けるため、焼き付きを起こしやすい用途となります。あと有機ELは液晶よりも高額になります。
最後に【マイクロLED (Micro LED)】ですが、構造は有機ELと同じ1層構造で有機ELの焼き付き問題を解消した物になります。またコントラスト比もより広くでき、ゲーマー的には応答速度が速いというのもポイントとなります。いわゆる最強のモニター。
ただし製品化にはまだまだ時間がかかる状況です。名前の通り微細なLEDを多く使用するためコストがかかります。製造法の改良などで製造コストが下がるまで気長に待つ感じです。
余談ですが最近、製品化された【ミニLED (Mini LED)】は名称からマイクロLEDの前段階的なモニターっぽく思えますが、液晶の【バックライトのLED】を従来より小さくしただけという製品で、構造はマイクロLEDではなく液晶です。従来の液晶より繊細な画質を実現しますがマイクロLEDとは全くの別物になります。
2-2【液晶パネルの種類】
【液晶パネル】には、主に【TNパネル】【IPSパネル】【VAパネル】の3種類があります。
◆応答速度のTNパネル (残像が出にくい)
◆色のIPSパネル (色鮮やか)
◆コントラストのVAパネル (黒が綺麗)
各パネルには得意分野がある反面、不得意分野もあります。まとめたのが下記。
パネル | 応答速度 | 色 | コントラスト | 得意な用途 |
---|---|---|---|---|
【TNパネル】 | ⭕ | ❌ | ❌ | 動きの速いゲーム |
【IPSパネル】 | ❌ | ⭕ | ❌ | 動きの遅いゲーム 動画鑑賞(色重視) クリエイト系 (イラスト・写真・動画制作など) |
【VAパネル】 | ❌ | ❌ | ⭕ | 動きの遅いゲーム 動画鑑賞(コントラスト重視) |
◆アクション性のある対戦ゲームのいわゆるe-Sportsタイトル(FPS・TPS・MOBA・RTS・FG)やアクション性の高いタイトル(音ゲーや縦シュー横シュー)などは【TNパネル】が良いです。
◆それ以外のあまりアクション性のないタイトルを主にプレイするなら【IPSパネル】か【VAパネル】が良いです。色を重視するなら【IPSパネル】、コントラストを重視するなら【VAパネル】という感じになります。
またアクション性のあるゲームをプレイするものの、自分はガチ勢ではなくエンジョイ勢な方やゲーム以外の動画なども楽しみたい方は、画質を重視で【IPSパネル】や【VAパネル】を選択する、というのも全然ありです。
2-3【画面アスペクト比】と【画面解像度】と【画面サイズ】
【画面アスペクト比】と【画面解像度】と【画面サイズ】の3つはそれぞれ違う事柄ですが密接に関係しているため、まとめて解説します。下の表はざっくりとした説明です。
画面アスペクト比 [Display Aspect Ratio] | 【横縦比】の事 | 16:9や16:10、21:9など。 |
---|---|---|
画面解像度 [Display resolution] | 【画素数】の事 | 1920x1080や3840x2160など。 |
画面サイズ [Display Size] | 【大きさ】の事 | 24インチや32インチなど。 (もしくは24型や32型など) |
まず【画面アスペクト比】は画面の横と縦の比率を表します。【アス比】と略して使う事も多いです。見た目が全く違うため判別が簡単です。現在のモニターの主流は【16:9】、以前は【4:3】でした。最近ではさらに横長な【21:9】や【32:9】というモニターも出てきています。

主要なアスペクト比をまとめたのが下記。
画面アスペクト比 | 一言 |
---|---|
【16 : 9】 | 現在の主流。テレビもコレ。 |
【21 : 9】 | 16:9よりも横長なアス比。 ゲーマー以外にもクリエイターやアナリストなどにも人気。 |
【32 : 9】 | 16:9のモニター2枚分のアス比。 ゲーマー以外にもクリエイターやアナリストなどにも人気。 |
【16 : 10】 | 製品数は少なくなりましたが、今でも根強い人気のアス比。 |
【3 : 2】 | MicrosoftのSurfaceが採用しているアス比で有名。 |
【4 : 3】 | 以前の主流。最近のiPadはこのアス比。 見開きの漫画がほぼスッポリ入る比率。 |
次に【画面解像度】は画素数を表し、この数値が大きいほど高画質・高精細になります。主要な画面解像度には名称が付いています。動画配信サイトや定額制の動画配信サービスが盛んになっているため目にする機会が増えました(HD画質・FHD画質・4K画質などです)。
下は主要な画面解像度の【名称】と【解像度】と【アスペクト比】の一覧になります。
名称 | 画面解像度 | 画面アスペクト比 |
---|---|---|
VGA Video Graphics Array | 640 x 480 | 【4 : 3】 |
HD High Definition (横が約1000ピクセルで1Kと呼ばれる事も) | 1280 x 720 | 【16 : 9】 |
FHD Full High Definition (横が約2000ピクセルで2Kと呼ばれる事も) (FullHDやフルHDと表記する事も) | 1920 x 1080 | |
WQHD Wide Quad High Definition (WQHDを2Kと呼ぶ事もあるため混同に注意) (WQHDではなくQHDと表記するメーカーもあります) | 2560 x 1440 | |
4K 4000 pixels (横が約4000ピクセルで4K) | 3840 x 2160 | |
8K 8000 pixels (横が約8000ピクセルで8K) | 7680 x 4320 | |
Ultra Wide ウルトラワイド (FHDを横長にしたモノをU-FHDと呼ぶ事もあります) | 2560 x 1080 (U-FHD) | 【21 : 9】 |
3440 x 1440 (U-WQHD) | ||
5120 x 2160 (U-4K) | ||
Super Ultra Wide スーパーウルトラワイド (FHD2枚分のモノをSU-FHDと呼ぶ事もあります) | 3840 x 1080 (SU-FHD) | 【32 : 9】 |
5120 x 1440 (SU-WQHD) | ||
WUXGA (Wide Ultra eXtended Graphics Array) | 1920 x 1200 | 【16 : 10】 |
最後に【画面サイズ】は画面の大きさを表し、画面の対角線の長さ(インチ / inch)の事になります。対角線の長さが24インチ(60.96cm)だったら24インチのモニター、32インチ(81.28cm)だったら32インチのモニターとなります。

ただ日本では計量法の規定があるためメーカーは【インチ】という言葉が使えず代わりに【型】を使います。ですので画面サイズの事だと【インチ=型】となり【24インチは24型、32インチは32型】と呼びます。ぶっちゃげ、どちらでも通じます。
注意点は現在のテレビはアスペクト比が【16:9】だけなのでインチが大きい方が大きなテレビとなりますが、モニターの場合は【16:9】【21:9】【32:9】など、いくつかのアスペクト比があり、画面サイズは画面の対角線の長さなので同じ32インチでも【16:9】と【21:9】のモニターではサイズ感が違ってきます。
そのため画面サイズは【アスペクト比別】に考えて下さい。
【16:9の24インチ】が主流なのはゲームは画面端にも重要な項目が表示される事が多いため、ひと目で画面全体を見渡せるサイズが適しているためです。 画面が大きいと視線移動が大きくなったり、さらに画面が大きいと少し首を動かす必要があるためゲームには不向きとされています。人によっては【24インチ】は小さいから【27インチ】がいいという方もいます。
ただしアクション性やリアルタイム性のないゲームなら32インチなどのモニターだと臨場感が増すため選択肢に入りますし、【車を運転するゲーム】や【飛行機を操縦するゲーム】などのシミュレーター要素が大きいゲームなら【21:9】や【32:9】などのモニターの方が没入感が増すため全然ありです。また【MOやMMO】などの様々なUIを表示したいゲームもウルトラワイド系のモニターは適しています。
2-4【視野角】
視野角(Viewing Angle)はモニターの視野の広さの事です。正面から見たコントラスト比や色を基準として、垂直(上下)や水平(左右)から見た時に、どの角度までなら正面と同じに見えるか?を表した数値。単位は度(角度)。
下の画像は【赤線は視野角が広く、青線は視野角が狭い】を表しています。

一般的にIPSパネルは視野角が広く、TNパネルは視野角が狭いです(昔のTNパネルは現在のTNパネルよりもっと狭かった)。
パネルの種類 | 視野角 (垂直/水平) |
---|---|
現在のTNパネル | 【160度/170度】 |
IPSパネル | 【178度/178度】 |
VAパネル | 【178度/178度】 |
ただ視野角の狭いTNパネルを採用するモニターは27インチぐらいまでで、TNパネルで視野角の問題が顕著になる32インチ以上やウルトラワイドのモニターでは、TNパネルを採用した製品は少なくVAパネルかIPSパネルを採用しています。これは画面サイズによって適切なパネルが割り当てられている、という事です(ウルトラワイドだけど応答速度重視でTNパネルという製品も中にはありますが)。
2-5【表面処理】
表面処理(表面加工 / Display Surface)とは、モニターの表面が【光沢仕様】か、【非光沢仕様】かの事になります。暗い画面やモニターの電源を消している時に自分が映り込むのが【光沢】です(鏡のような感じ)。【非光沢】は自分が映り込みません。スマートフォンやタブレットは【光沢】。
メリット・デメリットが下記。
・色が鮮やかで、黒が引き締まってコントラストが高い。
・映り込み(自分の姿や背景)や、光り(太陽光や照明)を反射する。
・目への負担は非光沢よりある。
・傷つきやすいため掃除は丁寧さが必要。
◆非光沢 (ノングレア)
・色の鮮やかさやコントラストは光沢に劣る。
・映り込みがなく、光りを反射しにくい。
・目への負担は光沢より軽い。
・傷つきにくいため、雑に掃除しても大丈夫(限度はあります)。
2-6【平面モニターと曲面モニター】
モニターの形状が平面(フラット / Flat)なのが平面モニターで、普通のモニターは平面です。曲面モニターはモニター形状が曲面(カーブ / Curve)しているモニターを指します。 湾曲モニターと呼ばれる事もあります。下の画像はASUSの曲面モニター【ROG SWIFT PG35VQ】を斜め上から見た画像。

曲面は横長モニターのウルトラワイド(21:9)やスーパーウルトラワイド(32:9)でよく採用されています。アスペクト比16:9のモニターでも採用している製品もあります。利点は臨場感が上がり没入感が増す事で、車を運転するゲームなどで効果的です。動画鑑賞などにも良いです。
欠点は正確さに欠ける事です。文章が少しだけ読みにくくなりますし(雑誌や冊子などを湾曲させて読むとイメージしやすい)、イラストを描いたり写真編集や動画制作のクリエイト系には向きません。また90度回転させての縦長での使用は想定されていないためピボット機能はないです。
曲がり具合は【パネル表面曲率】などと呼ばれ単位は【R】になります。数値が小さいほど湾曲しています。例えば【2000R】より【1800R】の方が曲がっています。
2-7【リフレッシュレート】
【リフレッシュレート / Refresh Rate】とは、1秒間に何回、映像を描画するか?を表した事柄で単位は【Hz / ヘルツ】になります。60Hzだと1秒間に60回描画し、144Hzだと1秒間に144回描画します。描画する数が多いほど映像は滑らかに表示されます。 要はパラパラ漫画のコマ数が多いか?少ないか?という感じです。
120Hz以上のリフレッシュレートが高いモニターの事を【高リフレッシュレート・モニター】と呼び、現在のゲーミングモニターの代名詞となっています。一般的なモニターは60Hz。
【60Hz / 144Hz / 240Hzを比較した動画】が、下のNVIDIA GeForce Japanによる【高フレームレート検証動画】になります。スローモーションなので違いが分かりやすいです。高リフレッシュレートは【映像の滑らかさ】以外にも【残像の軽減】【テアリングの軽減】【システム遅延の軽減】も実現しています。 これを見るとアクション性のある対戦ゲームのプレイヤーに高リフレッシュレート・モニターがまたたく間に広まっていったのが頷けます。相手よりも速く気付ける、視認できる、という事です。
高リフレッシュレートのモニターは、以前NVIDIAが売りにしていた【3D Vison】の副産物として生まれました。【3D Vison】は120Hzのモニターと専用のメガネを使い映像を3Dの立体映像にし、高い没入感を実現した技術です(現在はサポートも終了しています)。そして120Hzのモニターを【3D Vison】として使うのではなく、そのまま【120Hzのモニター】として使ったのが始まりです。
はじめは120Hzが主流でしたが、Dual-Link(デュアルリンク)のDVIケーブルの最大がFHDで144Hzだったので、144Hzを採用する製品が多くなり現在の主流となりました。HDMIやDisplayPortを使えば、より高いリフレッシュレートを実現できるため165Hzや240Hzのモニターを利用できます。さらには360Hzというモニターもあります。
注意点は高リフレッシュレートのモニターを買うだけではダメで、それに見合ったパソコンの性能が必要となる事です。 高リフレッシュレートのモニターは高リフレッシュレートを映せるだけで、実際に描画しているのはパソコン(GPU)になります。GPUの描画はフレームレートと呼ばれます。重複する部分がありますが下記にリフレッシュレートとフレームレートについて解説します。
共に1秒間に映像を何回描画しているか?を表していて、リフレッシュレート = フレームレート(Hz = fps)と考えてオッケーです。
◆リフレッシュレート
単位はHz(ヘルツ)。【モニター】が1秒間に映像を何回まで描画できるか?を表す。
【数値は固定】60Hzモニターは60Hz以上には設定できない。高リフレッシュレート・モニターだと下の設定に変える事は可能。例えば144Hzモニターだと144Hz・120Hz・60Hzなどと段階的に変更可能となっています。もちろん144Hz以上には設定できません。
◆フレームレート
単位はfps(エフピーエス / Frames Per Second)。ゲームジャンルのFPS(First Person shooter)とは別物で、見分けるためにフレームレートの方は小文字でfpsと書く事が多いです。【パソコン(GPU)】が1秒間に映像を何回描画できるか?を表す。GPUはパソコンのパーツの1つでグラフィックボードやビデオカードなどと呼ばれるパーツです。
【数値はGPUの性能なりの数値になる】高性能のGPUだと数値は高くなり低性能のGPUだと数値は低くなります。高性能GPUだと240fps以上出るが低性能GPUだと60fpsを下回るなど。ただし【ゲームタイトル・解像度・ゲームのグラフィック設定】でもfpsは変わってきます。
例えば、実写の様な綺麗な3Dゲームを高解像度、高設定で144fps以上出したい場合はカナリ高性能なGPUが必要になり、2Dゲームを低解像度、低設定で60fps出ればいい場合はカナリ低性能のGPUでも可能になる、という具合です。
ですので高解像度(WQHD以上)や高リフレッシュレート(144Hz以上)のモニターの性能をフルに引き出すには、それに見合った高性能なGPUが必要となります。
◆注意点
60Hzのモニターで240fps以上出していても、モニター上では60Hz(60fps)しか描画できていない事になりますし、144Hzのモニターで60fps前後しか出てないと同じく60fps(60Hz)しか描画できていない事になります。前者はモニターがスペック不足で後者はGPUがスペック不足という状況です。
またPS4やSwitchなどのゲーム機は60fps(ゲームタイトルによっては30fpsもあります)が最大フレームレートなため、60Hz以上のモニターを導入しても恩恵はありません。ただし次世代のPS5などは120fpsまで対応する予定らしいです。
◆アクション性のある対戦ゲームのいわゆるe-Sportsタイトル(FPS・TPS・MOBA・RTS)やアクション性の高いタイトル(音ゲーや縦シュー横シュー)などは【高リフレッシュレート】が良いでしょう。
パソコンのスペックが許せば(お金をかけられるなら)240Hzの方がもちろん良いですが、144Hzでも60Hzや75Hzとは別次元です。
注意点はFG(格闘ゲーム)で、FGは最大フレームレートが60fpsに固定されて作られているためFGしかプレイしないのなら60Hzで応答速度の速いTNパネルのモニターが良いです。
◆それ以外のあまりアクション性のないタイトルを主にプレイするなら60Hzや75Hzで良いです(もちろん高リフレッシュレートでもプレイ可能なので高リフレッシュレート・モニターでもオッケー)。
2-8【応答速度とオーバードライブ】
現在、応答速度の種類は3つあります。【応答速度】【GtG】【MPRT】の3つです。
【応答速度(Response Time)】とはモニターの映像が切り替わる速さを表しています。具体的には液晶パネルの【立ち上がり時間(黒➡白)】と【立ち下がり時間(白➡黒)】の両方の時間を足した物(黒➡白➡黒)が応答速度になります。 単位はms(ミリセカンド / ミリ秒)。
ただ映像で黒➡白➡黒(0➡100➡0)と切り替わる場面(シーン)はそうそうないため現実的な数値ではないと言われています。通常の映像はグレー ➡ グレー(20➡60とか90➡40などなど)の切り替わりです。この0と100ではない中間の数値の切り替わりを示した物が中間階調の応答速度で【GtG】と呼ばれます。単位はms。GtGの表記はメーカーによって異なっていて【Gray to Gray】【グレー ➡ グレー】【G to G】【GTG】などと色々とありますが同じ事を示しています。
応答速度やGtGの数値が低い(応答速度が速い)とゲーミングモニターに適しています。数値が高い(応答速度が遅い)と映像に残像が顕著に出るためボヤケたような感じになり視認性が低下してしまうからです。 ただ応答速度が速くても残像は出ます。遅いとより多く残像が出て目立つ、という感じ。
この残像を定量的に測った物が動画応答性能の応答速度で【MPRT(Moving Picture Response Time)】と呼ばれます。単位は同じくms。VESAが策定、標準化しています。標準化されているという事は測り方などなど色々と決まりがあるという事です。
3つをまとめたのが下記。
実際の映像を使い計測するため最も現実的で信頼できる応答速度。ゲーミングモニターでは今後MPRTが主流になると思われます。現在はまだMPRTを表記しているメーカーは少なく、同じメーカーでも古い製品ではGtGで新しい製品ではMPRTとなっていたりします。
◆GtG (Gray to Gray / グレー ➡ グレー / G to G / GTGなど)
中間階調の切り替わりを計測しているためMPRTに次いで信頼できる応答速度。ゲーミングモニターのスペック表記に最も使われています。
◆応答速度 (Response Time)
黒➡白➡黒の切り替わりを計測しているため現実的ではないので信頼性に欠ける。
ちなみにACERのモニターでは応答速度に【VRB 1ms】という表記の製品があります。これはVRB(Visual Response Boostの略でACERでのモーションブラー軽減機能)をオンにした状態での応答速度を表していると思われます。
次に【オーバードライブ / Overdrive】について。オーバードライブとは、主にGtGを高速化する機能で通常よりも高い電圧をかけて液晶素子の動きを速くし、結果GtGが速くなるという機能です。やり過ぎる(電圧を上げ過ぎる)とオーバーシュートやアンダーシュートという現象が起き、本来の映像にはない色(明る過ぎる色の場合はオーバーシュート、暗過ぎる色の場合はアンダーシュート)が出て、これが残像となります。 そのため設定でオーバードライブを最大にすると、かえって残像が目立ってダメという事もあります。そういう時は中間のオーバードライブ設定にする感じになります。
一般モニターなら良いですが、ゲーミングモニターで応答速度だけを表記しているモニターはお勧めしません。
残像の軽減は他にもあり、上で解説したようにリフレッシュレートが高いほど軽減されますし、【モーションブラー軽減機能 (黒挿入機能)】が付いているゲーミングモニターだとさらに残像を軽減する事ができます。高リフレッシュレートと同じくeSport系のゲームのプレイヤーに人気な機能です。詳しくは下で解説しています。
2-9【垂直同期】
垂直同期(Vertical Sync)とは、ざっくり言うと【モニターのリフレッシュレートとGPUのフレームレートを同期させる技術】です。 リフレッシュレートが60Hzのモニターならフレームレートを60fpsに固定させる技術。モニターの同期技術とかVRR(Variable Refresh Rate / 可変リフレッシュレート)技術などとも呼ばれます。
では、なぜ同期させるのか?ですが、それは【テアリング / Screen Tearing】を防止するためにあります。テアリングとは、リフレッシュレートよりもフレームレートが【上回ったら起こる現象】で、ある部分を堺に映像がズレて分断されたような映像になります。
フレームレートが速すぎてリフレッシュレートと食い違って起きてしまう感じです。ただしゲームによってはですが垂直同期をオフにしていてもテアリングが起きない場合もあるため必ず起こる現象ではないです(同じゲームでも起きる場面と起きない場面があったりもします)。

このテアリングを防ぐのに生まれたのが【V-Sync】です。V-Syncをオンにすると60Hzのモニターだとフレームレートが60fpsに固定されて、リフレッシュレートとフレームレートが同期しテアリングを防止する、という仕組みです。
ただしV-Syncをオンにしていてフレームレートが少しでも60fpsを下回ったら、今度は【スタッタリング / Screen Stuttering】という現象が起こります。映像にカクつきが発生して、カクカクな映像になります。
このスタッタリングを抑制しつつテアリングも防ぐのが、次に生まれた【Adaptive V-Sync】です。下の動画は【V-Sync】では起こっているスタッタリング(カクッカクというカクつき)が【Adaptive V-Sync】では抑制されている、という検証動画です。
【Adaptive V-Sync】は60Hzのモニターの場合、60fpsを維持できている時は【V-Syncをオン】にしテアリングを防ぎ、60fpsを下回った時は【V-Sycnをオフ】にしスタッタリングを抑制します。
【Adaptive V-Sync】はテアリングとスタッタリングを防ぎますが【遅延】が発生してしまうという欠点があります。【V-Sync】も遅延します。この遅延があるためにFPSゲーマーなどのアクション性のある対戦ゲームをプレイするゲーマーのなかでは【垂直同期は切る!!】というのが常識でした。撃ち負けたくないですから。

そこで登場したのがNVIDIAの【G-SYNC】です。【G-SYNC】はテアリングもスタッタリングも防ぎ、超低遅延という同期技術。 遅延はG-SYNCオフよりかは遅延はあるがV-Syncなどとは比べ物にならないほど低遅延。注意点はモニターにG-SYNC専用の部品(ハードウェア)が必要で、それを組み込むため値段が高くなるという事です(FreeSyncのモニターより1万~2万ぐらい高くなる)。またAMDのGPU【Radeon】には非対応で、NVIDIAのGPU【GeForce】専用です。 余談ですがNVIDIAとAMDは競合(ライバル)企業です。

NVIDIAの【G-SYNC】に対抗すべく、AMDも同じ様な同期技術【FreeSync】を発表します。【FreeSync】は【G-SYNC】と違いモニターに専用の部品を必要としませんし、さらに【FreeSync】に対応していないモニターでもファームウェアのアップデートで【FreeSync】に対応できます。コチラもNVIDIAの【GeForce】には非対応で、AMDの【Radeon】専用です。
ちなみにVESAのDisplayPort1.2aのオプション規格【
【G-SYNC】と【FreeSync】のどちらが良いか?ですが【G-SYNC】の方が性能は上になります。 【FreeSync】は適応されるリフレッシュレートに下限があり、それをフレームレートが下回ったら【FreeSync】は機能しなくなります。下限が35Hzの場合、フレームレートが35fps以下になると【FreeSync】が機能しなくなる、という事です。【FreeSync】の下限はモニターによって変わってくるためコレという数値は出せませんが、だいたい40Hz前後が多いです(30Hz~55Hz)。
G-SYNCとFreeSyncで争っている中、2019年1月にNVIDIAが417.71ドライバ(GeForceを動かすソフト)を公開したのですが、この417.71ドライバには「GeForceでも【FreeSync】が使えるようになったよ!!」という衝撃の内容が入っていました。そしてNVIDIAがGeForceで【FreeSync】がちゃんと機能したモニターに【G-SYNC Compatible】という名称を与えています。NVIDIAはGeForceで【FreeSync】が動く3つの条件を提示しています。それが下記。
◆GTX10xxのPascal世代(1060とか1080など)以降のGPU。
◆417.71以降のドライバ。
【G-SYNC Compatible】は、NVIDIA公認のGeForceで【FreeSync】が動くモニターですが、だいたいの【FreeSyncモニター】はGeForceで動きます。ただし機能はしても映像に不具合が出る場合があります。そのためGeForceで【FreeSync】を利用したい場合は【G-SYNC Compatible】と表記のあるモニターを買うのが無難です。こちらのNVIDIA公式の【G-SYNCモニターのリスト】ページ で【下の方にG-SYNC Compatible対応モニター】も載っています。
【G-SYNC】と【FreeSync】の登場で同期問題は解決した感じですが、もう1つ同期技術はあります。それがNVIDIAの【Fast Sync】と、AMDの【Enhanced Sync】です。共にテアリングを防ぎ低遅延、ただしスタッタリングは防げない、という同期技術です。これは【V-Sync】や【Adaptive V-Sync】と同じくモニターが対応していなくても機能します。手軽に低遅延の垂直同期を利用できるという事です。
いくつもの同期技術が出てきたので、下に簡単にまとめます。
名称 | テアリング防止 | 対応モニター |
---|---|---|
スタッタリング防止 | ||
遅延 | ||
【V-Sync】 | ⭕ | 全てのモニター |
❌ | ||
遅延あり | ||
【Adaptive V-Sync】 | ⭕ | 全てのモニター |
⭕ | ||
遅延あり | ||
【Fast Sync】 【Enhanced Sync】 | ⭕ | 全てのモニター |
❌ | ||
低遅延 | ||
【G-SYNC】 | ⭕ | G-SYNC対応モニター |
⭕ | ||
超低遅延 | ||
【FreeSync】 (Adaptive-Sync) | ⭕ (下限あり) | FreeSync対応モニター (モニター・メーカーがファームウェアを アップデートすれば対応可能) |
⭕ (下限あり) | ||
超低遅延 | ||
【G-SYNC Compatible】 | ⭕ (下限あり) | FreeSync対応かつ NVIDIA公認のモニター |
⭕ (下限あり) | ||
超低遅延 |

ちなみに【FreeSync】には【FreeSync Premium】という規格があります。これは120Hz以上の高リフレッシュレートに対応したFreeSyncです。実はFreeSyncモニターの中にはリフレッシュレートは144HzなのにFreeSyncが機能するリフレッシュレートの上限は90Hzまでというモニターが存在します。144Hzのモニターを買ったのにFreeSyncを利用する場合は90Hzが上限になってしまうと144Hzモニターを買った意味がなくなります。
そこでAMDはCES2020で高リフレッシュレートに対応したFreeSyncには【FreeSync Premium】という新しい名称を与えると発表しました。ただCES2020は2020年1月開催なので、それ以前に発売されていて高リフレッシュレートにも対応したFreeSyncモニターは当然【FreeSync Premium】ではなく【FreeSync】として売り出されているため、ややこしくなっています。こちらのAMDの公式ページ でFreeSyncについてのモニターのリストがあり調べる事は可能です。

さらにですが【G-SYNC】には【G-SYNC Ultimate】、【FreeSync】には【FreeSync Premium Pro】という規格もあります。これは垂直同期の技術をさらに向上させた規格ではなく、【G-SYNCモニター】または【FreeSync Premiumモニター】がHDRにも対応していたら【G-SYNC Ultimate】または【FreeSync Premium Pro】となります。【G-SYNC + HDR = G-SYNC Ulitimate】【FreeSync Premium + HDR = FreSync Premium Pro】という事です。
ちなみに【FreeSync Premium Pro】ですが、以前は【FreeSync2】(FreeSync2 HDR)という名称でした。
ただテアリングは絶対に起こる現象ではないですし、超低遅延ですがG-SYNCでも遅延は起きるため多少のテアリングは我慢して同期は切るという場合や、高リフレッシュレートではテアリングは起こりにくいという事もありますので、同期技術の必要性は自分がゲームをどうプレイしたいのか?によって違ってきます。
ゲームによってオンにしたり、オフにしたりも全然あります。
※G-SYNCはGeForce専用(NVIDIAのGPU)で、FreeSyncはRadeon専用(AMDのGPU)で、G-SYNC CompatibleはGeForce専用(NVIDIAのGPU)な点には注意。
2-10【色空間と色域】
色空間(Color Space)とは色を表現するための方法。 主な色空間が下記。
【RGB色空間】 | R(赤)・G(緑)・B(青)の3色の階調により表現する。 |
---|---|
【CMYK色空間】 | C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(ブラック)の 4色の階調により表現する。 |
【YUV色空間】 | Y(輝度)とU(赤の色差)・V(青の色差)により表現する。 |
色域(Color Gamut)とは特定の色の範囲を定めたもの。 主な色域の規格が下記。
【sRGB】 | IEC(国際電気標準会議)が定めた国際標準規格。 |
---|---|
【NTSC】 | National Television System Committee (全米テレビジョン放送方式標準化委員会)が提唱。 sRGBより広く、Adobe RGBと同じぐらいの色域。 |
【Adobe RGB】 | アドビが提唱。DTPなどではコチラが標準。 sRGBより広い色域。 |
【DCI-P3】 | Digital Cinema Initiativesが提唱。デジタルシネマ向け。 Adobe RGBより広い色域。 |
【Display P3】 | Appleが提唱。DCI-P3に準じている。 |
【Rec.709】 | ハイビジョン放送(地デジなど)での色域。sRGBと同じ。 |
【Rec.2020】 | 4K/8K放送での色域。 |
【色空間は色の出し方】で、【色域は色の規格】という認識だけでオッケーと思います。
2-11【表示色】
表示色(Display Color)はモニターが表示できる色の数になります。主流は約1677万色(RGB各色8bit)です。
まずRGBは【Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)の略】
次に8bitは【2の8乗で256段階】
そしてRGB各色8bitは【赤・緑・青の各色を256段階で表示する】という事で【R(256) x G(256) x B(256) = 16,777,216色(約1677万色)】になります。RGB各色8bitを【8bitカラー】と表記する事も多いです。
注意点は【約1670万色や約1680万色】などの切り捨て表記や切り上げ表記をするメーカーがありますし、誤植という事もあります。ただ現在のモニターは【8bitカラーの約1677万色】が主流です(激安モニターや小型モニター、モバイルモニターは除く)。
以前は26万2144色(6bitカラー)や疑似1677万色(6bitカラー+FRC)が主流でした。今後は約10億7300万色(10bitカラー) が主流になると思いますが、まだ10bitカラーはプロの現場(映像・写真・イラストなどなど)での利用が主です。
【6bitカラー】 (RGB各色6bit) | 64 x 64 x 64 = 262,144色【26万2144色】 |
---|---|
【8bitカラー】 (RGB各色8bit) | 256 x 256 x 256 = 16,777,216色【約1677万色】 |
【10bitカラー】 (RGB各色10bit) | 1024 x 1024 x 1024 = 1,073,741,824色【約10億7374万色】 |
ちなみに10bitカラーを映すには【モニター・パソコン(GPU)・ソフト・コンテンツ】の全てが10bitカラーに対応していないと映せません(どこか1つでも8bitカラーだと、10bitカラーではなく8bitカラーになります)。
また【高解像度・高リフレッシュレート・10bitカラー】に対応しているモニターで、10bitカラーに設定するとリフレッシュレートが下がる事があります。例えば【WQHD・144Hz・10bitカラー】というスペックのモニターで、10bitカラーに設定すると【144Hzではなく120Hzになる】という感じ。これは144Hzでは映像端子(ケーブル)の帯域幅を超えてしまうため120Hzに下がってしまう、という事です。
今後HDMIやDisplayPortのバージョンが上がれば解決しますが、今後出るであろう【4K・240Hz・10bitカラー】や【8K・144Hz・10bitカラー】などスペックが上がれば、また帯域幅不足は起きます。
2-12【輝度】
輝度(きど / Brightness)は画面の明るさの事で、単位は【cd/m2】。数字が大きいほど画面を明るくできます。通常のモニターは250~400cd/m2、HDR対応のモニターは400~1000cd/m2。明るいと綺麗に見えますが目の負担は高くなります。
2-13【コントラスト比】
コントラスト比(Contrast Ratio)は、画面の白(最大輝度)と黒(最小輝度)の輝度比の事。静的コントラスト比とも呼ばれます。黒を1として白が1000倍の明るさだとしたら【1000 : 1】という表記になる。数値が大きいほど明暗の差が広くなる。通常のモニターは【1000 : 1】。
注意点は比率なので【最大輝度が500cd/m2で最小輝度が1cd/m2のモニター】と、【最大輝度が250cd/m2で最小輝度が0.5cd/m2のモニター】のコントラスト比は同じ【500 : 1】となる(どちらのモニターが良いかは使用環境(モニター周辺の明るさ)や好みで分かれる)。そのためコントラスト比は輝度とセットで見る。
また【ダイナミックコントラスト比】も白と黒の輝度比を表しますが、コチラはバックライトを制御して測定するため、ぶっちゃげ参考になりませので無視していいです。動的コントラスト比や拡張コントラスト比などとも呼ばれます。
2-14【HDRとDisplay HDR】
HDRは【High Dynamic Range】の略で、ダイナミックレンジ(明暗の比)を従来のSDR(Standard Dynamic Range)より高めた技術がHDRです。SDRでは【白飛び】や【黒潰れ】が起こっていましたが、HDRではダイナミックレンジが上がったためハッキリと見えるようになりました。
下はACERの【HDR】のイメージ画像。

HDRといっても様々な規格があります。簡単にまとめたのが下記です。
【HDR10】 | HDR対応などと製品に書かれていたらコレの事。 Ultra HD Blu-ray(略してUHD BD)の規格に採用されたHDR規格。 ロイヤリティフリー。 |
---|---|
【Dolby Vision】 | Dolbyが提唱しているHDR規格。 HDR10よりも表現力は高く、 また1フレーム毎にHDR関係のメタデータを挿入できる。 |
【HLG】 (Hybrid Log-Gamma) | NHKとBBCが提唱。 1つの映像データでSDR・HDR両方の機器で違和感なく見られる。 放送データで活用するために互換性を重視したHDR規格。 |
【HDR10+】 | HDR10+ Alliance(家電メーカーや映画スタジオ)が提唱。 HDR10の上位規格。 1フレーム毎にHDR関係のメータデータを挿入できる。 ロイヤリティフリー。 |
【DisplayHDR 】 | VESAが提唱。 モニターのHDR機能のグレード(品質)を示す規格。 |
まずHDRを視聴するには【HDR対応モニターやテレビ】+【HDR対応のコンテンツ(映像/映画やアニメやゲーム)】の2つ必要です。
例えば【HDR10】に対応したテレビを買っても【HDR10対応の映像】でないとHDR機能は実行されません。【HDR10対応の映像】だとHDR機能が実行され、HDRの映像を見る事ができます。映像にHDRのデータも入っていて、テレビはそのHDRのデータを読み取りHDR機能を実行します。 これが【HDR10】【Dolby Vison】【HDR10+】で、PQ(Perceptual Quantization)という方式を採用しています。
【HLG】はPQ方式ではなく、規格名そのままのHLG(Hybrid Log-Gamma)方式を採用しています。PQ方式は映像の明るさを絶対値で指定しますが、HLG方式は相対値で指定するためHDRに対応していないSDRのテレビでもHDR対応テレビと似たような映像を見る事ができます。 HLGは、HLG方式のHDRデータを入れた放送データを放送電波にのせます。
【HDR10】【Dolby Vison】【HDR10+】【HLG】はブルーレイや動画配信、放送データの【コンテンツ(ソフトウェア)に対してのHDR規格】です。それとは違い【DisplayHDR】は【モニター(ハードウェア)に対してのHDR規格】となります。赤字は【HDR映像信号の規格】で、青字は【モニターの表示性能の規格】。
HDR対応と謳われた製品は一律で同じHDR性能ではありません。優劣があります。例えばリフレッシュレートで言い換えると【120Hzの製品も240Hzの製品も360Hzの製品も】全てひっくるめて【高リフレッシュレート対応】と謳われて売り出されている感じです。これでは消費者は高リフレッシュレートのモニターとは分かりますが、具体的に何Hzのモニターなのか分かりません。
そんな分かりにくいHDR性能をランク分けしたのが【DisplayHDR】になります。下の画像は【DisplayHDR】の各ランクのロゴになり、現在は7つのランクに分かれています。数字が大きいほど性能が上です。 左側5つは【液晶パネルのモニターを対象としたランク】で、右側2つのは【有機ELパネルのモニターを対象としたランク】になります。

数字は最大輝度を表しています。DisplayHDR 400だと最大輝度が400nit (cd/m2)、DisplayHDR 1000だと最大輝度が1000nit (cd/m2)となります。実際の画像を見比べると分かりやすいのですが【DisplayHDR 400】と【DisplayHDR 1000】だと全く違います。【DisplayHDR 400】はHDRに対応していますが、そこまでHDRを体感できません。
ゲームのHDR対応状況ですが【ゲームでのHDR = HDR10】と考えてオッケーで、Windows10・Playstation4・XboxOneはHDR10に対応しています。【Dolby Vison】【HDR10+】は映画やドラマなどでは採用されていますが、まだゲームではないと思います(今後は分かりません)。
またパソコンモニターで【Dolby Vison】【HDR10+】【HLG】に対応した製品は非常に少なく高額になるため、【Dolby Vison】【HDR10+】【HLG】が目当てだったらパソコンモニターではなくテレビを買った方が安上がりになります。
リフレッシュレートや応答速度(残像)などの視認性を重視する方はHDRは気にしなくてオッケーです。
2-15【位置調節とモニタースタンドとVESA規格】
モニターは位置調整が可能で【高さ】【ピボット(90度回転 / Pivot)】【チルト(垂直角度 / Tilt)】【スイベル(水平回転 / Swivel)】の4つがあります。

【高さ】はモニターの高さを調整し、【ピボット(90度回転)】はモニターを縦に回転できる機能です。 ウルトラワイドモニターは横幅が非常に長いためピボット機能はありません。

【チルト】はモニターの垂直角度を調整する機能で、モニターが上を向く・下を向く感じ。

【スイベル】はモニターの水平回転を調整する機能で、モニターが左右に首を振る感じ。
上記の位置調節を可能にしているのが【モニタースタンド】になります。
モニタースタンドには2種類あります。1つはモニターの下部に付いている下部スタンド、もう1つはモニター裏の中央に付いている中央スタンドです。下位グレードのモニターには下部スタンドが多く、上位グレードのモニターには中央スタンドが多いです。
中央スタンドの方は【高さ調節・ピボット・チルト・スイベル】の全ての位置調節が可能ですが、ピボットだけできない中央スタンドもあるため注意が必要です。下部スタンドは【チルト】のみが多いです。ただモニターアームを使用する場合は両方ともモニタースタンドを取り外すため優劣がなくなります。

【VESA規格(VESAマウント規格)】とは、主にモニターアームを取り付けるために定められた規格です。4つのネジを使いモニターにモニターアームなどを設置します。大きさは【100mm x 100mm】が主流ですが、大型のモニターでは【200mm x 100mm】や【200mm x 200mm】などもあります。ゲーミングモニターなら100mm x 100mmVESAマウントが必ずと言っていいほど付いています。
下の画像はI-O DATAでのVESA規格の解説ページ の画像です。

またモニターアームの他にも【モニタースタンド】があったり、【VESA規格に対応した小型PCケースやベアボーン】があり、それをモニターに設置すれば一体型パソコン風にできたりします。

2-16【ベゼル】
ベゼル(Bezel)とはモニターの【縁の部分】の事を指します。このベゼルが薄い場合は【スリムベゼル】【ベゼルレス】【ゼロフレーム】【フレームレス】などと呼ばれます(メーカーによって違う)。モニターの性能には全く影響しない項目です。 が、薄型のベゼルだと見た目が非常にスッキリとした印象を受けるため製品を手にした時の満足度は上がります。
下の画像はACERのモニターで普通サイズと薄型のベゼルの比較。

2-17【OSDの操作方法】
まずOSD (On Screen Display)とは画面上に出る操作パネルの事です。OSDを操作する事で【色や輝度、様々な機能などなど】を設定します。 下の画像はZOWIEモニターのOSD。

そしてOSDの操作方法ですが、通常はモニター本体の【下部、側面、背部】などにボタンがあり、それをポチポチと押す事で設定します。操作性は悪く腕が疲れます。

操作性向上や素早く操作できるように【有線リモコンや無線リモコン】で設定するモニターもあります(全ての設定をリモコンで可能かは製品によります)。

また最近では【設定用の専用ソフトウェア】があり、ソフト上 (マウスやキーボードで操作)で設定するモニターもあります(全ての設定をソフトで可能かは製品によります)。

2-18【モニターの付属品】
付属品は【映像ケーブル・電源ケーブル】が基本です。中には【USBケーブルやオーディオケーブル(ミニプラグ)】が付属される事もあります。ACアダプターをモニター内に内蔵していないモニターには【ACアダプター】も付属します。またリモコンがあるモニターには【有線or無線のリモコン】も付属してきます。
注意点は映像ケーブルが付属しない製品や、モニターにはHDMI端子やDisplayPort端子があるのに付属するのはD-Subケーブルのみの製品があったりする事です。 別途ケーブルを購入すれば解決はしますが。
2-19【モニターのサイズと重量の表記について】
各メーカーによりモニターのサイズや重量の表記は、いくつかのパターンに分かれます。
サイズでは横幅や奥行きは各メーカー同じですが、高さについては【高さ調節を最大にしてのサイズ】と【高さ調節を最小~最大のサイズ】の2つあります。
重量は【スタンドを含んだ重量】【スタンドを含まない重量】【スタンドを含む、含まないを表記していない重量 (おそらくスタンドを含むと思われる)】の3つがあります。
3【接続方法】
モニターとの接続には【D-sub】【DVI】【HDMI】【DisplayPort】【USB Type-C】の5種類の端子を使います。
古い規格なため、この端子がモニターやパソコンに付いていても使われる事は少ないと思います。【VGA端子】とも呼ばれます。
◆DVI
D-subの次に出てきた端子。【アナログのDVI-A】【デジタルのDVI-D】【アナログとデジタル両対応のDVI-I】の3種類ありますが、主に使われているのは【デジタルのDVI-D】になります。 そしてDVI-Dには【シングルリンク (SL)】と【デュアルリンク (DL)】の2種類があります。デュアルはシングルよりも倍の性能(帯域幅)があります。
◆HDMI
現在の主流の1つ。1.0~2.1とバージョンアップしてきました。バージョン的には1.4と2.0が主流で、今後2.1が普及。端子の形状を小さくした【Mini HDMI】と、さらに小さくした【Micro HDMI】があります。
◆DisplayPort
コチラも現在の主流の1つ。1.0~2.0とバージョンアップしてきました。バージョン的には1.2と1.4が主流で、今後2.0が普及。端子の形状を小さくした【Mini DisplayPort】があります。DisplayPortを略してDPと呼ぶ事も多いです。
◆USB Type-C
USB Type-CのAlt Mode (Alternate Mode / オルタネートモード)で、DisplayPortとHDMIなどと互換性があります。オプション規格なので全てのUSB Type-Cが対応しているわけではありません。主にノートパソコンやスマートフォンなどで活用されています。
下記は各端子の画像。
D-sub | DVI-D シングルリンク | DIV-D デュアルリンク |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
HDMI | Mini HDMI | Micro HDMI |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
DisplayPort | Mini DisplayPort | USB Type-C |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
端子の違いで何が起こるのか? 単純に形状が違うという事もありますが、各端子には最大の帯域幅(伝送速度)があり、それにより映し出せる最大の解像度とリフレッシュレートが決まってきます。 各端子の解像度に対する最大リフレッシュレートの表が下記。D-sub、初期のHDMIやDisplayPort、製品が出ていないDisplayPort2.0は除外しています。
端子 | FHD (1920 x 1080) | WQHD (2560 x 1440) | 4K (3840 x 2160) |
---|---|---|---|
【DVI シングルリンク(SL)】 | 60Hz | ❌ | ❌ |
【DVI デュアルリンク(DL)】 | 144Hz | 60Hz | ❌ |
【HDMI 1.4】 | 144Hz | 60Hz | 30Hz |
【HDMI 2.0】 | 240Hz | 144Hz | 60Hz |
【HDMI 2.1】 | 240Hz以上可 | 240Hz | 120Hz |
【DisplayPort 1.2】 | 240Hz | 165Hz | 75Hz |
【DisplayPort 1.4】 | 240Hz以上可 | 240Hz | 120Hz |
おおまかに【HDMI 2.0】と【 DisplayPort 1.2】が、【HDMI 2.1】と【DisplayPort 1.4】が同じような性能となっています。【HDMI】と【DisplayPort】については次項以降で、もう少し解説します。
注意点は、帯域的には144Hz出せるのに120Hzが上限などの製品があるという事です。 解像度がFHDの場合だと、DVI(DL)とHDMI(1.4)でも120Hzが上限や、DP(1.2)でも144Hzや165Hzが上限などの製品があります。
もう1つ注意点があります。複数の映像端子を持ったモニターでは接続する端子によってスペックが変わる事がある、という事です。例えばFHDで165Hzというスペックのモニターでも【DP接続だと165Hz】のスペック通りだが【HDMI接続だと144Hz】に下がるなどです。これはDPのバージョンが1.2でHDMIのバージョンが1.4のモニターで起こります。
3-1【HDMI】と【DisplayPort】について
HDMIは主にいくつかの家電メーカーが集まって策定した規格で、DPはVESAが策定した規格 (VESAは、VESAマウント規格やDisplay HDRなども策定しています)。そのためHDMIは家電系の機器(テレビ・レコーダー・オーディオ機器・ゲーム機など)に採用され、DPはパソコン系の機器に採用されています。認知度や普及率はHDMIの方が上で、性能はDPの方が上です。
ウルトラワイドの解像度にはHDMIは【HDMI 2.0】から、DPは【DP1.2】から対応しています。USB Type-Cとの互換はHDMIは【HDMI 1.4】から、DPは【DP1.3】から対応しています。 いわゆるUSB Type-CのAlt Mode (Alternate Mode / オルタネートモード)の事で、【HDMI Alt Mode】や【DisplayPort Alt Mode】などと呼ばれます。
HDMI、DP共に映像以外にも音声などを流せます。 例えばゲーム機とテレビ(スピーカー搭載モニター)を接続すると映像+音声の送受信を1本のケーブルでまかなえます。その他にはHDRデータなどの送受信にも使われます。注意点はDPは音声についてはオプション扱いなので全てのDP搭載機器が音声を流せるというわけではないです。
HDMIはライセンス料がかかりDPはライセンスフリーですが、DPのケーブルの両端には制御ICが必要なためケーブルの製造コストはDPの方が高いです。
モニター購入時には両方の端子を備えているモニターを買うと使い勝手が高まるため、お勧めです。 またUSB Type-Cのオルタネートモードはゲーミング用途では、まず使いませんので気にしなくてオッケーです (ノートパソコンやスマートフォンなどで活用されています)。
3-2【HDMIとDisplayPortのケーブルとDisplayPortの数珠つなぎ(デイジーチェーン)について】
HDMI、DP共にバージョンに合ったケーブルが必要になります。【HDMI 1.4】なら【HDMI 1.4対応のケーブル、もしくはHDMI 2.0対応のケーブル】、【DP1.2】なら【DP1.2対応のケーブル、もしくはDP1.4対応のケーブル】 という具合にです。
DPのケーブルは【DP1.2対応】や【DP1.4対応】とバージョン名をそのまま使っているので分かりやすいですが、HDMIはケーブルに名称を与えています。現在は4つも名称があるため分かりにくくなっています。ケーブル購入時には気を付けて下さい。下記がHDMIのバージョンとケーブル名称についての表。語感ではウルトラよりもプレミアムの方が上に感じられてややこいです。
HDMIバージョン | ケーブル名称 |
---|---|
【HDMI 1.0~1.2】 | Standard HDMI Cable (スタンダードHDMIケーブル) |
【HDMI 1.3~1.4】 | High Speed HDMI Cable (ハイスピードHDMIケーブル) |
【HDMI 2.0】 | Premium High Speed HDMI Cable (プレミアム・ハイスピードHDMIケーブル) |
【HDMI 2.1】 | Ultra High Speed HDMI Cable (ウルトラ・ハイスピードHDMIケーブル) |
HDMI、DPの変換ついては【HDMI↔DVI】【DP↔DVI】【HDMI↔DP】と自由に変換できますが、機能が制限される事があるため注意が必要です。主に解像度やリフレッシュレートが下がったりします。
次にDPの数珠つなぎ(デイジーチェーン / Daisy Chain)についてですが、通常3画面にする場合はパソコンには3つの映像端子が必要で、映像端子3つを使い3画面を実現します。しかしDPのデイジーチェーンならパソコンの映像端子はDP端子1つで実現できます。残りの2つのモニターはモニター同士でDP接続します。2画面も可能。 これは【DisplayPort MST (Multi Stream Transport / マルチ・ストリーム・トランスポート)】と呼ばれる機能です。

もちろん全てのDPを搭載したモニターが対応しているわけではなく、DisplayPort MST (デイジーチェーン)に対応したモニター(DP出力のあるモニター)が必要になります。また解像度やリフレッシュレートは1つのモニターに接続する場合よりも下がります。
3-3【DisplayPortのスリープ問題について】
モニターをDPで接続している場合にパソコンをスリープから復帰させると【アイコンやウィンドウの配置やサイズが変わってしまう】という事が起こります。これは不具合ではなくDPの仕様です。
DPはスリープになると接続を完全に切断する仕様になっていて、これはDPケーブルを引っこ抜いたのと同じ状態になります。それでパソコンがモニターが切断されたと認識し【アイコンやウインドの配置やサイズが変わってしまう】という事が起こります。DPのバージョンはドンドン上がっているのに、この問題はいっこうに対応されません。
◆そもそもスリープを使わない。
最近のパソコンは起動時間が短いのでスリープ自体を使わないという選択。
◆対策されたアダプターを買う。
対策されたアダプターを経由する事でスリープ問題を解決。難点はアダプターが希少で普通に売っていない事。
◆対策されたモニターを買う。
上記のアダプターの機能がモニターに最初から内蔵されている。難点は対策されたモニターが少ない事。
他にも【OSで設定したり】【DPとHDMI(DVIやD-subでも可)の2本差し】などがありますが、上手く行かない事があるのでお勧めはしません。最も確実でお金も手間もかからないのが【そもそもスリープを使わない】です。
3-4【その他の接続】
映像端子以外の端子が付いているモニターもあります。多いのが【USB端子】【オーディオ端子】ですが、他にもDisplayPort MST用の【DisplayPort出力端子】があったりします。接続ではないですがヘッドセットやヘッドフォンをかける【ハンガー(フック)】もあります。下の画像はZOWIEの【XL2746S】。

モニターにUSBハブ機能が搭載されていてモニターとパソコンをUSBで接続すると【USBハブ】として使用でき、マウスやUSBメモリーなどのUSB製品を利用可能になります。また製品によりますが、ちゃんとした充電機能が付いたUSB端子もありスマートフォンなどを素早く充電できる場合もあります。
◆オーディオ端子
アナログ接続のヘッドセットやヘッドフォンを接続できます。形状はミニプラグ(3.5mm)端子(ステレオミニ・ミニフォーン)。
◆DisplayPort MST用のDisplayPort出力端子
上で解説したDisplayPort MST用のDP端子です。数珠つなぎにモニターを接続できます。
3-5【モニターに搭載されているスピーカー】
モニターの中にはスピーカーが搭載されている製品もあります。ただテレビに搭載されているスピーカーと違い、モニターに搭載されているスピーカーの性能は良くありません。 おまけ程度で付いていると思って下さい。
4【機能について】
モニターには様々な機能があります。非常に効果的な機能としては【モーションブラー軽減機能】があります。特にFPS等のアクション性のある対戦ゲームのプレイヤーなら欲しい機能です。
その他には【明るさを調整する機能】【表示機能】【ボヤけを軽減する機能】【PIP機能とPBP機能】【眼精疲労を軽減する機能】等があります。1つずつ見ていきましょう。
4-1【モーションブラー軽減機能】
モーションブラーとは、高速で動いている部分がブレて残像になる現象です。表示されているフレームの前のフレームの映像が残り、現在のフレームと重なって表示されて残像が起きます。これは応答速度(GtG)が遅いモニターで顕著に現れますが、速いモニターでも残像はでます。また応答速度(GtG)を高速化するオーバードライブをかけ過ぎたりしても残像は起こります(応答速度(GtG)については上で解説しています)。
このモーションブラー(ブレ・残像)を軽減し、高速で動いている部分の視認性を上げるのが【モーションブラー軽減機能】です。 軽減ですので完全に無くす事はできません。【黒挿入機能】や【モーションブラー・リダクション】などと呼ばれる事もあります。詳しくはZOWIE公式のDyAc解説ページ で。下の画像はZOWIEの【DyAc】。

この機能があると激しい動きのある場面でも視認性が上がるため、リコイルコントロールがしやすくなったり、高速で視点を変えた時などに敵やオブジェクトの認識速度が上がります。
フレームとフレームの間に黒い画面を挿入する事で実現しているため、オンにすると画面が少し暗くなります(輝度を上げる事で解決)。メーカーによっては、この機能をオンにすると同時に画面も明るくして暗くなったと感じさせない製品もあります。
デメリットとしては、モーションブラー軽減機能をオンにすると基本的に同期技術やフリッカーフリーがオフになります(同時使用不可)。基本的にと書いたのは、2020年4月24日に発売されたASUSのゲーミングモニター【VG279QM】は例外で、このモニターはモーションブラー軽減機能(ELMB)と同期技術(FreeSync)を同時利用できる【ELMB Sync】という新機能を搭載しているためです。今後は同時利用が可能なモニターが増えるかもしれません。
またフリッカーフリーがオフになるため個人差はあると思いますが、目が疲れやすくなります。
下は各社のモーションブラー軽減機能の名称をまとめた物。
メーカー | 名称 |
---|---|
ZOWIE | DyAC (Dynamic Accuracy) DyAc+ (Dynamic Accuracy+) |
ASUS | ELMB (Extreme Low Motion Blur) |
ACER | Visual Response Boost |
GIGABYTE | AIM STABILIZER |
上記以外にNVIDIA【G-SYNC】には【ULMB (Ultra Low Motion Blur)】というモーションブラー軽減機能があります。G-SYNCをオフにした時にULMBがオンになりモーションブラーを軽減します。G-SYNCとULMBは同時使用できません。 注意点は全てのG-SYNC採用モニターに搭載されている機能ではないという事です。
4-2【明るさ調整機能】
明るさを調整する事で視認性を上げる機能です。画面を明るくしゲーム内の暗い部分を見えやすくする、というそのままな事。下の画像はASUSの【Shadow Boost】。

ただたんに輝度を上げているのではなく、明るい部分をできるだけ明るくせずに暗い部分を明るくする感じです。 ぶっちゃげ明るい部分も明るくはなりますが。
下は各社の明るさ調整機能の名称をまとめた物。
メーカー | 名称 |
---|---|
ZOWIE | Black eQualizer |
ASUS | Shadow Boost |
ACER | Black Boost |
GIGABYTE | BLACK EQUALIZER |
DELL | Dark Stabilizer |
I-O DATA | Night Clear Vision |
4-3【表示機能】
表示機能とは画面上に【レティクル (照準点)】【フレームレート】【タイマー】などを表示する機能です。下の画像はASUSでの【レティクル (照準点)】と【フレームレート】を表示している画像。


◆レティクル (照準点)
画面中央にレティクル (照準点)を表示し、狙い易いようにする。
◆フレームレート
画面端にリアルタイムのフレームレート(fps)を表示する。
◆タイマー
画面端にタイマーを表示し、時間の経過を知らせる。
◆目盛り
画面の上下左右に目盛りを表示し、モニターを複数台並べる時に高さや横幅を合わせ易くする。
◆CPUとGPUのメーター
画面端にリアルタイムのCPUとGPUの稼働率・クロック数・温度・ファン回転数などを表示する。
下は各社の表示機能をまとめた物。
メーカー | 名称 | 種類 |
---|---|---|
ASUS | GamePlus | 【レティクル】【フレームレート】 【タイマー】【目盛り】 |
ACER | Aim Point | 【レティクル】 |
GIGABYTE | GAME ASSIST | 【レティクル】【フレームレート】 【タイマー】【目盛り】 |
DASHBOARD | 【CPUとGPUのメーター】 | |
HP | 名称なし | 【レティクル】【フレームレート】 【タイマー】【目盛り】 |
DELL | ゲーム向上モード | 【タイマー】【フレームレート】 |
4-4【ボヤけを軽減する機能】
高解像度のモニターで低解像度の動画などを見るとボヤけた感じになりますが、これをクッキリ・ハッキリとした映像にするのがボヤけを軽減する機能です。映像はクッキリしますが映像加工を行っているため、その加工時間分の遅延が発生します。
下は各社のボヤけ軽減機能の名称をまとめた物。
メーカー | 名称 |
---|---|
ASUS | VIvid Pixel |
ACER | Super Sharpness |
GIGABYTE | 超解像度 |
I-O DATA | 超解像技術 |
4-5【PIP機能】と【PBP機能】
別々の機器(パソコン+ゲーム機やゲーム機+TVなど)からの映像(2つの映像)を1枚のモニターに映す分割表示機能。【PIP(ピクチャー・イン・ピクチャー)】と【PBP(ピクチャー・バイ・ピクチャー)】があり、PIPはメインとサブ(小画面)、PBPは画面を2分割や4分割にして表示させます。

4-6【眼精疲労を軽減する機能】
眼精疲労を軽減する機能としては【ブルーライトカット】と【フリッカーフリー】の2つがあります。
まず【ブルーライト】とは【波長が300~500nmの青色光】の事です。

一般的にブルーライトを長時間浴びていると眼精疲労や睡眠障害などに影響すると言われています。そのブルーライトを軽減して目に優しい!!などと謳われているのが【ブルーライトカット機能】です。【ブルーライトシールド】や【ブルーライト・リダクション】などと呼ばれる事もあります(メーカーによって名称が異なる)。設定はオン・オフか数段階から選ぶ。
ブルーライトカットはモニターでの設定以外にも、グラフィックボード(GPU)やWindowsの設定などでも実行できます。また【ブルーライトカット・フィルム】や【ブルーライトカット・メガネ】などの製品もあります。
次に【フリッカーフリー】ですが、フリッカーとはチラツキの事で、フリッカーフリーはモニターのチラツキを抑える機能になります。【フリッカーレス】などと呼ばれる事もあります(メーカーによって名称が異なる)。下はASUSの【Flicker-free】のイメージ画像。

モニターのチラツキ(フリッカー)もブルーライトと同様に長時間見ていると目が疲れるため、チラツキを抑える事で眼精疲労を軽減します。
4-7【KVM機能】
KVM機能とは【1組のマウス・キーボード・モニター】で複数のパソコンを操作できる機能の事です。同時に操作はできず切り替えながら使用します。パソコン毎にマウス・キーボード・モニターが必要なくなり省スペース化できます。もともとKVMスイッチという周辺機器があり、それをモニターに内蔵させた物です。

KVMスイッチはデータセンターなど多数のサーバーを操作するのによく使用されています。KVMは「Keyboard・Video・Mouse」の頭文字。一般的な用途としては【1組のマウス・キーボード・モニター】を【ゲーム用やクリエイター用のデスクトップパソコン】と【仕事用やモバイル用のノートパソコン】とで共有する感じです。
注意点としモニターのKVM機能はパソコンの接続数は2~3台までで接続方法に制約があったりしますので、KVM機能目当てでモニターを買う場合は公式サイトにある取扱説明書を見て、具体的にどう接続するのか、どう接続できるのかを確認した方が良いです。
5【選び方】
ここまでモニターのスペックや機能などを見てきました。ここからは具体的な【選び方】を解説していきます。ゲーミングモニター選びで重要なポイントは【液晶パネルの種類】【リフレッシュレート】【画面解像度】【画面サイズ】【モーションブラー軽減】【同期技術】の6点。
もちろん【HDR機能は欲しい】【HDMIが2つないとダメ】【90度回転させたいのでピボット機能は必須】【スピーカー付きや音声端子がないとダメ】など、上の6点以外にも人それぞれマストなポイントはあると思いますので、その辺は上の6点にプラスして選んで下さい。
TNパネルは残像が少ない。IPSパネル(色)とVAパネル(コントラスト)は画質が良い。
◆リフレッシュレート
144Hz以上の高リフレッシュレートは視認性向上につながる。ただし動きの速いアクションゲームでないと効果がないため、非アクションゲームなら60Hz~75Hzでも問題ない。
◆画面解像度
解像度が高いと高画質になる傾向。またゲーム画面を広く使える場合もある(FHDとWQHDではフィールドの表示や表示させる事のできるUIの数などが違ってくるゲームもある)。ただし高リフレッシュレートと高解像度を両立するにはハイスペックなパソコン(GPU)が必要。普通はどちらかを優先させる。
◆画面サイズ
24インチだと視線移動が少なくてすむ。27インチ以上やウルトラワイドは没入感が増す。
◆モーションブラー軽減
残像を減少させるのがモーションブラー軽減機能。対戦アクションゲームでは便利な機能ですが、フリッカーフリーをオフにするため目が疲れやすくなる。
◆同期技術
パソコンに搭載しているGPUがGeForceなら【G-SYNCかG-SYNC Compatible】、Radeonなら【FreeSync (Adaptive-Sync)】を利用できる。ただし必ずテアリングが起こるとは限らないし、ゲームによって出たり出なかったり、同じゲームでも出る場面と出ない場面があったりする。また高リフレッシュレートだとテアリングは起きにくいため同期技術は基本的に使用しません。また非アクションゲームだと使用しているGPUやモニターに関係なく実行できる【V-Sync】や【Fast Sync】を利用するのも普通にあります。
そして上記の重要ポイントを、どう選んでいくかは主にプレイしているゲームのジャンルによって決まり、それぞれ3つのタイプの【視認性重視】【視認性と画質の両方を重視】【画質重視】に分かれます。また他のタイプとしてパソコンならではの解像度の【ウルトラワイド】と、PS5やSwitchなどを接続する【ゲーム機用】という2つのタイプもあります。
主にプレイするゲームが【FPS・TPS・MOBA・RTSなどの対戦ゲームやコープ(協力)ゲーム】。具体的なゲームタイトルは【【CS:GO】【VALORANT】【R6S】【Overwatch】【Apex Legends】【Fortnite】【PUBG】【Call of Duty】【Battlefield】【Destiny 2】【Division 2】【LoL】【DOTA 2】【Starcraft 2】などなど】。これらのゲームでは視認性が大切なので以下のようなモニターが向いています。
対象はFPS・TPS・MOBA・RTSのガチ勢の方。
対戦アクションゲームやコープ(協力)ゲームなどもプレイするが【ガチ勢ではなくエンジョイ勢】。その他にも【ソロゲーム】もプレイするし、【非アクションの対戦・コープ・ソロゲーム】もプレイする。また【動画】も見る。このような方には視認性と画質の両方を備えた以下のようなモニターが向いています。
対象は色々なゲームをプレイするコアなゲーマーの方。 以下のページの【IPSパネルかVAパネル】のモニターがお勧め製品となります。
主にプレイするゲームは【非アクションゲーム】。あと【動画】も見る。画質はできるだけ上げたい。
※ゲーミングモニターではなく、一般用やクリエイター用のモニターを買うのもあり。
対象は画質を重視をするゲーマーの方。 以下のページの【IPSパネルかVAパネル】のモニターがお勧め製品となります。
車を運転する【レースゲーム】【トラック・シミュレーター】、飛行機を操縦する【フライト・シミュレーター】などのゲームや、たくさんのUIを表示させたい【MMO】などのゲームにも適しています。
※主に非アクションゲームをプレイするなら一般用のウルトラワイドモニターを買うのもあり。
対象は解像度がウルトラワイド系じゃないとダメな方。 以下のページの【ウルトラワイドモニター】がお勧め製品となります。
パソコンではなくゲーム機の【PS4】や【Switch】を接続するモニター。
※PS5は高リフレッシュモニターに対応しているため、アクションゲームをやる方はPS5に対応した高リフレッシュモニターを買うのをお勧めます。4K・120Hzまで対応していますがFHD・144Hz(120Hz)のモニターで十分とは思います。非アクションゲームで画質を重視するなら4K・60Hzをお勧めします。
対象はゲーム機でゲームをするゲーマーの方。 以下のページのFHDのモニターがお勧め製品となります。
6【目を大切に】
ゲームは目をかなり酷使する行為の1つです。主に2つの原因があります。
1つは【目のピント】。モニターを見続けるのはずっと目のピントを一定に保っているため、目にダメージが蓄積されていきます。例えるなら重い物を持ち上げている状態がずっと続くような感じ。 そりゃ疲れます。30分~1時間に1度、遠く(外の景色や部屋の角など)を見て目のピントを変える事で少し緩和されます。ピントは近くの物を見ている時の方が緊張するため疲れます。遠くを見るとピントが緩み緊張がほぐれます。
もう1つは【瞬きの回数】。人は集中したり何かを操作している時に瞬き(まばたき)の回数が減少します。ゲームはかなり集中しますし、操作もしているため瞬きの回数が減って目が乾き、目にダメージが蓄積されていきます。ドライアイになる原因の1つです。目のピントと同じく30分~1時間に1度、ガッツリ瞬きをする事で少し緩和されます。
目に良い事としては目薬をさしたり、DHAやEPAを摂取するがありますし、その他にも毎日1回~数回【十数秒毎に遠くを見る・近くを見るのピントのストレッチをしたり】、【目の周辺を温める製品を使う】があります。
目薬は【ソフトサンティア ひとみストレッチ】という製品がお勧めです。値段は高めですが、長時間モニターを見る人にお勧めです。

目の周辺を温めるにはホットタオル(蒸しタオル)でもオッケーですが下のような製品があり便利です。ホットタオルよりも長い時間温める事ができます。【使い捨てタイプ】と【繰り返し使えるタイプ】があります。10分~20分ぐらいかけ、じっくりと温めます。気持ちいですしリラックスもします。
(使い捨てタイプ)

(繰り返し使えるタイプ・電子レンジが必要)
