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ペンタブレットの選び方
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更新日 2022年9月24日 | 公開日 2022年1月21日

ペンタブレットの選び方のトップ画像

このページは自分に合った自分にとって良いペンタブレットを選べるようになるために、初心者向けに分かりやすく丁寧に解説したページです。

目次
  1. ペンタブレットとは?
    1. 板状タブレット (板タブ)
    2. 液晶タブレット (液タブ)
    3. 主なメーカー
  2. スペックの見方
    1. サイズ
    2. 読取可能範囲
    3. ペンと芯
    4. フィルムやシートについて
    5. 筆圧レベル
    6. 傾き検知
    7. ジッター
    8. 追加キー
    9. タッチ機能
    10. スタンド
    11. 接続方法
    12. 利き手
    13. 解像度 / 液タブのみ
    14. 視差 / 液タブのみ
    15. 描画遅延 / 液タブのみ
    16. 色域 / 液タブのみ
  3. 選び方
  4. 目と体を大切に

【ペンタブレットとは?】

ペンタブレットとは【紙の代わりとなる板状のデバイス】と【ペンの代わりとなるペン型のポインティングデバイス】の2つを使い、パソコン上でデジタルの絵を描く事ができる周辺機器です。

デジタルにする事で
◆失敗した線を描く前の状態に戻す機能(Ctrl+Z)があったり

◆絵の全体や一部分の角度を変えたり・拡大縮小したり・コピーペーストできたり

◆1つのデジタルペンで鉛筆・ペン・筆などの種類や太さ・ニュアンスなどを描けたり

◆レイヤー機能(目の部分・口の部分など複数枚の紙に別々に描きつつも重ねて1枚の紙としてもできる超便利機能)を利用できたり

◆様々なファイルに変換してネット上にアップできたり
と色々とできる事が広がります。
またペイントソフトによっては
◆漫画の集中線やトーンを一瞬で描いたり・ベージ管理などの便利機能があったり

◆描いた絵を3DCGにしたり、3DCGの素材を2DCGで活用したり

◆アニメーションにしたり
なども可能となります。
ペンタブレット(板タブ・液タブ)の画像

現在は昔からある【板状タブレット】(以下:板タブ)と、板タブに液晶モニターを追加した【液晶タブレット】(以下:液タブ)の2種類のペンタブレットがあります。

【板状タブレット (板タブ)】

板状タブレット(板タブ)の画像

パソコンで絵を描く際にマウスで描くよりペンで描いた方が描きやすいので開発されました。 原型は1970年代からあり、現在ではペンも板タブもワイヤレス(無線)の製品が出るほど発展しました (70年代はペンにもコードが付いていた)。

描かれる絵はパソコンのモニターに表示されるので手元を見ずに描くスタイルになります。

板タブで描いている時の画像
メリットは
◆手元ではなくモニターを見ながら描くので、アナログ(紙とペン)なら手元の部分の絵が隠れて見えないが、板タブだとその部分も見ながら描く事ができる。

◆紙やシートなどを板タブに貼り付ける事でペンの描き味を変更できる。

◆液タブは猫背になりやすいが、板タブは姿勢良く描く事ができ液タブよりも体の負担が少ない。

◆使わない時に収納ができる。その辺に立てたり、推奨しませんがぶっちゃげそのまま上に物を置いたり。

◆液タブよりも値段が安い、重量が軽い、パソコンとの接続が楽。

◆ワイヤレス(無線)の製品もある。
デメリットは
◆個人差はあるが慣れるまでに時間がかかる。

◆板タブで描くのには慣れたとしても、手元を見て描かないという板タブのスタイルに馴染めない人がいる。

【液晶タブレット (液タブ)】

液晶タブレット(液タブ)の画像

板タブの描く部分を液晶モニターにした製品が液タブです。【板タブ+液晶モニター】なので板タブのUSBケーブル、液晶モニターの映像ケーブル+電源ケーブルの3本のケーブルを接続する必要があります (現在はUSB Type-Cで1本や2本にできるモデルもあります)。

モニターに直接描く感じなので紙に描くのと同じようなスタイルになります。

液タブで描いている時の画像
メリットは
◆アナログ(紙とペン)と同じ感覚で描ける。

◆アナログ感覚なので板タブで描くよりも液タブで描く方が楽しいと感じる人が多い。

◆板タブより慣れるのに時間がかからない。

◆普通はしませんが、板タブとしても使用可能。
デメリットは
◆板タブと違い手元で隠れる部分がある。

◆視差がある (すぐに慣れますが)。視差については下で解説しています。

◆板タブと違い描き味の変更のために紙などを貼ると画面を見れなくなるので、描き味の選択の幅は狭まる (専用のフィルムなどのみになる)。

◆猫背気味になるので体に負担がかかる。

◆モニターとの距離が近いため板タブよりも目に負担がかかる。

◆板タブよりも値段が高い、重量が重い、パソコンとの接続が複雑。

【スペックの見方】

仕様書の画像

ここからはペンタブレットのスペックや機能などを解説していきます。

【サイズ】

板タブ・液タブのサイズの画像

上の画像は【板タブのWacom Intuos ProのS・M・Lサイズ】と【液タブのWacom Cintiq Proの16・24・32】の縮尺をおおまかに合わせた画像になります。【Wacom Intuos Pro Large】(430 x 287 x 8mm)と【Wacom Cintiq Pro 16】(410 x 266 x 22mm)が、だいたい同じくらいのサイズになります。

※液タブで製品名の数字と実際のインチ数は一致しない事が多いです。製品名はキリの良い数字にしている。これはパソコン・モニターやテレビなども同じです。

板タブの主流の大きさはMサイズかLサイズになります。 液タブの主流の大きさは16インチ前後です。24インチ前後は大きいので腕全体を使い描く人には人気ですが、値段が高く設置するのに場所が必要になります。31.5インチはマジでデカイです。ポスターを描いてるようなサイズ感。

【読取可能範囲】

読取可能範囲とはペンが反応する範囲の事を指します。そこにペンを走らせ絵を描きます。


板タブは、板タブ全体ではなく中央の部分が読取可能範囲になります。下の画像の【Wacom Intuos Pro Large】は全体のサイズが【430 x 287mm】ですが、読取可能範囲は【311 x 216mm】になります。また読取可能範囲の上下左右はペイントソフトを操作する部分になるため、実際に絵を描くエリアはもう少し狭まります。 ペイントソフト全体の画像は次の液タブの読取可能範囲にあります。

読取可能範囲の画像

液タブはモニターの部分がそのまま読取可能範囲になります。ちなみに液タブではモニターにペイントソフトのUI全体を映し描きます (モニター全体を絵のみにする事も可能ですがソフトの操作が面倒になります)。

下の画像で中央の白い部分が描くエリアになります (拡大縮小・回転反転などをして描く)。上下左右の部分でペイントソフトを操作します。

CLIP STUDIO PAINTの画像

【ペンと芯】

ペンの画像

板タブ・液タブには専用のペンがあります。基本的に板タブ・液タブに付属していたペンを使用します。オプション品で細いペンや特徴的なペンなどもあります。注意点は製品ごとに対応したペンがある事です。 同じメーカーのペンだからといって同じメーカーの板タブ・液タブ全てには対応していません。ペンを買う時は気を付けて下さい。

ペンの【芯】は消耗品なので描いていると削れていき、削れ切ると交換する事になります。 楽器の弦やリードみたいな感じ。めちゃくちゃ描く人は芯代でけっこう出費します。芯代を抑えるために爪楊枝や綿棒などを削り出し、自作の芯を作る事はできますが描き味が独特なので合う合わないはあります。

Wacomのペンの芯には、いくつかの種類があります。下はその画像と特徴です。

芯の画像
標準芯
引っ掛かりなく滑らかなに描ける芯です。ワコムのペンに、はじめから付いている芯。

ハードフェルト芯
ハードフェルトはプラスチックではなくフェルトでできた芯で硬いです。引っ掛かりがあり鉛筆のような描き味。

フェルト芯
ハードフェルトと同じくフェルト製の芯ですが、こちらはハードフェルト芯よりも、さらに引っ掛かりがあります。

ストローク芯
芯にスプリングが組み込まれていて、芯の先が1mmほど上下する芯です。ペンが上下するので紙に押し込んだような描き味。標準芯と同じく引っ掛かりは感じません。

エラストマー芯
引っ掛かりが最もあります。芯に弾性があるため「ねばり」のある描き味。フェルト芯がザラっとした感じなのに対し、エラストマー芯はヌルっとした感じです。

どの芯が自分に合うかは人それぞれなので【コレ1択!!】という芯はありません。好みというのもありますし、【ペンの持ち方や筆圧】【手首支点・肘支点・肩支点などの描き方】によって合う芯は変わってきます。 もちろん1つの芯ではなく描く対象、工程によって芯を変えるというのもあります。


板タブ・液タブのペンにはボタンが付いています。 ボタンに【やり直し】【消しゴム】【移動 (手のひらツール)】などの任意のショートカットキーを登録する事で素速く操作する事ができます。ボタンは非常に便利ですが、どうしてもミスクリックしてしまう人は何も登録しない事も可能です (クリックしても何も反応しない)。

ペンのお尻の部分が消しゴム機能になっているペンもあります。

【手袋】

板タブ・液タブには専用の手袋があります。板タブ・液タブを買うと付属してきます。付属しない製品もあります。またサードパーティ製の手袋もあります。大量に売っているコットンの手袋をハサミで切って代用する事も可能です。下はエレコムの手袋の画像 (エレコムには1本指用と2本指用があります)。

板タブ・液タブの手袋の画像

手袋の利点は下記になります。

◆滑る
手袋を着けると手を付いたまま板タブ・液タブの上をスムーズに移動する事ができます。アナログで紙と手の間にテッシュを挟むのと同じ感じ。

◆手が熱くならない
液タブの場合、製品によっては液晶部分(描く部分)がけっこう熱くなります。手袋を着けていると気になりません。

◆手汗防止
手袋を着けていると手汗をかいても気になりません。

【フィルムやシートについて】

板タブ・液タブは製品そのまんまで使用すると表面がツルツルで描きづらいためフィルムなどを貼ります (表面を保護するという意味合いもあります)。もちろん自分が描きやすいならそのまんまでもオッケー。製品によっては、はじめから何かしらのフィルムやシートが貼られている場合もあります。

板タブは専用のフィルムなども売られていますが【印刷用紙・わら半紙・習字の半紙】などなど、自分の好みの書き味の紙を貼り付ける事ができます。 もちろん専用のフィルムを買うのもありです。自分の好きな物を使いましょう。

液タブは板タブのように紙を貼り付けると画面が見えなくなるため紙などではなく、透明度の高い専用のフィルムやシートを貼ります。 エレコムなどから各製品専用のフィルムが売られています。

ペーパーライクの画像

【筆圧レベル】

筆圧レベルとは、筆圧の強弱を検知する事で濃淡や太さを表現する事ができます。【力を入れて強く描くと濃く・太く】なり【力を緩めて弱く描くと淡く・細く】なります。 検知の幅は【1024段階】【2048段階】【4096段階】【8192段階】と製品によって違ってきます。8192段階などの数字の大きい方が高性能です。ただ同じ8192段階でもメーカーにより違ってきます。やはりWacomが他のメーカーよりも高性能です。

また板タブ・液タブの設定ソフトやペイントソフトで筆圧を細かく調整する事で自分の好みのニュアンスに変更できます。

筆圧レベルの画像

【傾き検知】

傾き検知とは、ペンの傾きを検知できる機能の事です。【ペンを立てて描くと細く】なり【ペンを寝かせて描くと太く】なります。 鉛筆のような陰影を表現する事ができます。必要ない場合はOFFにする事も可能です。

傾き検知の画像

【ジッター】

斜めの真っ直ぐな線を描いたのにクネクネと曲がった線になる現象をジッター (Jitter)と言います。 縦線や横線では起こらず【斜め線】で起こります。低性能なペンタブレットで起こりやすく、高性能なペンタブレットだと起こりづらかったり、起こっても許容範囲な程度になります。ただ現在の最新のペンタブレット(板タブ・液タブ共に)として売られている製品なら気になるほどのジッターは起こりません。

※下の画像は実際のジッターではなく、ただの波線をジッターとしています。分かりやすくするためにジッターを誇張して描いています。

ジッターの画像

またジッターか手ブレかの判別方法は、ゆっくりと斜めに線を描いた時にクネクネと曲がったパターン状の波線になったら、手ブレではなくジッターになります。

【追加キー】

板タブ・液タブのなかには【ボタンやダイヤル】のある製品があります。上部、側部、背面などにあります。このボタンやダイヤルに頻繁に使用する任意のキーやショートカットキーを登録する事でイラスト・漫画制作がスムーズになります。製品によって【追加キーなし】【本体に追加キーがある】【左手デバイスが付属する】と違ってきます。

追加キーの画像

左手デバイスとは、クリエイティブ系のソフト(イラスト、漫画、写真編集、画像編集、動画編集、3DCG・3DCADなど)の操作をスムーズにするためのデバイス (周辺機器)になります。詳しくは【クリエイター向け左手デバイス】のページへ。

左手デバイスのトップ画像
左手デバイスの画像

【タッチ機能】

タッチ機能の画像

タッチ機能搭載の板タブ・液タブだと【指】でのタッチ操作(スマートフォンを操作する感じ)でキャンパスの移動や拡大縮小ができます。 非常に便利ですが誤操作してしまったり反応が悪かったりする事があるので、タッチ機能搭載でもタッチ機能をオフにする人もいます (その場合のキャンパスの移動や拡大縮小などはキーボードや追加キー、左手デバイスで操作する)。もちろんガッツリ活用している人もいるため必要か不必要かは個人によって変わります。

【スタンド】

ペンタブレットのスタンド調節の画像

液タブのスタンドは【低い角度】【高い角度】【ほぼ立てたような角度】など、自分の描きやすい角度に調節する事ができます。

本体に【簡易的なスタンド】が付いていたり【専用のスタンド】が付属されたりします。スタンドが付属しない製品もあります。サードパーティ製の【汎用スタンド】などもあります。VESAマウント対応製品だと【モニターアーム】や【モニタースタンド】を使用できます。

代用品として【ノートパソコンのスタンド】や【タブレットのスタンド】を流用する事も可能です。DIYできる方はホームセンターで木材を買い【自作スタンド】を制作するというのもあります。

ペンタブレットのスタンドの画像

一方板タブのスタンドは必要ないという人もいますし、必要だとしてもスタンドを買うのではなくペットボトルのフタなどで代用したりするだけで十分となるケースが多いです。 もちろん別途スタンドを購入するのもありです。


【接続方法】

板タブはUSBケーブル1本の接続になります。 無線(Bluetooth)接続可能な製品もあります。

液タブはUSB接続に、モニターの映像と電源の接続も加わるため【USBケーブル+映像ケーブル+電源ケーブル】と3つケーブルを接続する必要があります。 ただUSB-C (USB Type-C)だと【USB・映像・電源】を送れるため1本のケーブル接続でオッケーな製品もあります (パソコン側の対応が必要)。もしくは【USB-Cケーブル (映像信号+USB信号)と電源ケーブル】の2ケーブルという接続方法もあります。

映像信号も流せるUSB-Cは【DisplayPort Alternate Mode (DP Alt Mode)】に対応したUSB-C端子です。電源も流せるUSB-Cは【USB PD】に対応したUSB-C端子です (USB PD対応でも15Wなど出力が小さいと液タブには対応しません)。【USB Type-C】について、もう少し知りたい場合はUSB規格のページの【USB Type-C】の項目へ。

まとめたのが下記になります。

◆USB-A
◆映像ケーブル
◆電源ケーブル
通常の液タブの接続方法。3本ケーブルを使う。
◆USB-C
(USB+映像+電源)
【DP Alt Mode】と【大電流のUSB PD】に
両対応したUSB-Cだと1本のケーブルで接続可能。
◆USB-C
(USB+映像)
◆電源
【DP Alt Mode】に対応しているが
【大電流のUSB PD】には非対応のUSB-Cだと
USB-Cと電源ケーブルの2本のケーブル接続になる。

いずれにせよ製品ごとに接続方法が異なるので液タブを購入する時は自分のパソコンとの接続方法を確認してから購入しましょう (パソコンによっては液タブを接続できない場合があります)。下の画像は【Wacom Cintiq Pro 16 (2021)】の接続方法の画像。

Wacom Cintiq Pro 16 (2021)の接続方法の画像

【利き手】

右利き・左利き・縦長で使用の画像

板タブ・液タブ共に180度回転させれば左利きに対応します。デフォルト設定は右利きモードなので、左利きモードにする場合は設定ソフトで変更します。

【解像度 / 液タブのみ】

【解像度 (画面解像度)】とは画素数を表し数値が大きいほど高画質・高精細になります。


液タブの解像度は【FHD/フルHD (1920x1080)】【WQHD (2560x1440)】【4K (3840x2160)】の3つが主流です。

4Kが最も良いですが値段も高くなります。4Kだと高精細なので拡大してもドット(ピクセル)が見えない(もちろん超拡大すると見える)、作業領域が広くなるなどの利点があります。ただ低スペックのパソコンだと動作が遅くなる場合があります。

FHDは標準的な解像度ですが、液タブはモニターやテレビなどよりも近づいて見ますのでドットが見えやすくなります。拡大するとガッツリ見えます。作業領域も4Kに比べれば狭いです。ただ低スペックのパソコンでもサクサク動作します (低スペック過ぎると遅いです)。

WQHDは、4KとFHDの中間という感じ。

実際の製品ですが【プロ用の液タブは4K】で【標準仕様の液タブはFHD】というのが多いです。ただし4Kだから絵が上手くなる訳ではなく作業効率が上がると思って下さい。 神絵師ならFHDでもWQHDでも4Kでも上手いです。

【視差 / 液タブのみ】

視差の画像

液タブは【映像を移すモニターの部分】【ペンの動きを検知する部分】【保護する部分】など、いくつかの層が重なってできています。そのためペン先から線が描かれずに、ペン先から少しズレた部分に線が描かれます。このズレを視差と言います。

視差はどの製品でも起こりますが、現在の液タブなら許容できないまで大きなズレは起こりません。はじめは戸惑うかもしれませんが、だんだんと視差に慣れて紙に描くようにスラスラと描けるようになります。

【描画遅延 / 液タブのみ】

遅延の画像

描画遅延はペンで描いてから少し時間が経過して線が描かれる【タイムラグ】の事を指します。 描画遅延が大きいと非常に書きづらいですが、現在の液タブの描画遅延は許容範囲内です。視差と同じく慣れます。

ちなみに液タブのスペックに【応答速度】という項目があります。速度という単語が付いていますが、これは描画遅延(描画速度)とは別物なので気を付けて下さい。

応答速度とは描画される映像の移り変わる速度を表していて、数値が低いと高速で動いている映像の残像感が低くなり(ぼやけなくなり)、高速で動いた部分をハッキリと視認できるようになります。これはアクション性の高いゲームなどでは映像(画面全体・画面の一部分の両方)がパッパと高速で切り替わるため、応答速度は大切な項目ですが絵を描く場合には大切な項目ではないです。

【色域 / 液タブのみ】

色域(Color Gamut)とは、特定の色の範囲を定めたもので色の規格みたいな感じです。 液タブ、デジタルカメラ、スキャナー、パソコンのモニター(ディスプレイ)、プリンターなどで同じ色にするために色の規格(色域)が定められました。色域を合わせる事でモニターに写っている画像とプリンターで印刷した画像の色が同じになります。

が、同じ色にするには非常に難しいです。スマートフォン、タブレット、パソコンモニター、テレビと映像・画像を映す(写す)機器は身近にありますが、同じ映像や画像をそれらで見てみると色は全然合ってないと思います (同じ赤でも色味の違う赤のような感じ)。

詳しくは書きませんが色を合わせるには同じ色域でキャリブレーション(調整)した機器間で実現できます。キャリブレーションはソフトウェア・キャリブレーションとハードウェア・キャリブレーションの2つがあります。またキャリブレーションは数ヶ月毎に行います。ある程度時間が経つとズレてくるため再キャリブレーションが必要になります。あと描いた絵のファイル自体にも色域の情報を埋め込む必要があります。

下記は主な色域です。

【sRGB】IEC(国際電気標準会議)が定めた国際標準規格。
パソコン系はこれが標準です。
またWeb系(SNSやサイトなど)もsRGBが標準。
【Adobe RGB】アドビが提唱。sRGBより広い色域。
イラストを印刷までするならsRGBよりもコチラ。
【NTSC】National Television System Committee
(全米テレビジョン放送方式標準化委員会)が提唱。
sRGBより広く、Adobe RGBと同じぐらいの色域。
【DCI-P3】Digital Cinema Initiativesが提唱。デジタルシネマ向け。
Adobe RGBより広い色域。
【Display P3】Appleが提唱。DCI-P3に準じている。
【Rec.709】ハイビジョン放送(地デジなど)での色域。sRGBと同じ。
【Rec.2020】4K/8K放送での色域。

ただ同じ絵を描くでも、趣味で絵を描くのか、SNSなどで発表するのかしないのか、絵を描いて収入を得るのかなど、個人で違ってくると思います。

趣味で絵を描きSNSに発表するまでなら色域やキャリブレーションの事はあまり気にしなくていいと思います。プロやセミプロになり収入を得る、印刷して販売するなどだと色域の知識とキャリブレーションが必要になります。

そして液タブはメーカーにより価格帯は変わりますが【標準仕様の液タブ】と【プロ用の液タブ】の2つのグレードを展開している事が多いです。ですので【趣味なら標準仕様の液タブ】、【プロやセミプロはプロ用の液タブ】になると思います。もちろんお金があるなら趣味でもプロ用の液タブを勧めます。

ちなみに現在のプロ用の液タブの色域でも、広色域を謳ったクリエイター向けのモニターには負けます。そのためプロなどの色を気にする人は最終的な色のチェックは広色域のモニターを使用します。

重複する部分がありますが、もう少し色域について キャリブレーションについて 、知りたい方はリンクをクリック。


【選び方】

まず板タブと液タブのどちらにするのか?問題について。

板タブと液タブ、どちらにするか?の画像

このページの上の方で板タブのメリット・デメリット液タブのメリット・デメリットは書きましたが簡単にまとめたのが下です。

◆板タブのメリット・デメリット
⭕手元が隠れない。
⭕値段が安い、重量が軽い、パソコンとの接続が簡単でワイヤレス(無線)の製品もある。
⭕体への負担が液タブより少ない。
❌慣れるまで時間がかかる。
❌板タブで描くのに慣れたとしても違和感がある人がいる。
◆液タブのメリット・デメリット
⭕アナログ感覚で描ける。
⭕板タブより慣れるのが早い。
⭕板タブとしても使える。
❌手元が隠れる。
❌値段が高い、重量が重い、パソコンとの接続が複雑。
❌体への負担が板タブより大きい。

板タブに慣れて、板タブで描く事に違和感がない方だと板タブが最強になります。手元が隠れないし、体への負担が少ないためです。紙などを貼り付けて描き味も色々と変えられます。ただペンタブレットが欲しいと思う人は、すでに紙とペンのアナログで描き慣れている人が多いため、アナログと同じ感覚で描けてすぐに慣れる液タブの方が人気が高いです。

プロの漫画家やイラストレーターでも液タブの人が多いです。もちろん板タブの人もいます。ペンタブレットは道具なので自分の使いやすい方を使うのが正解です。 もしくは近くにデジタル絵に慣れている人がいるなら、その人と同じ製品を使うという手もあります。

現在はヤフオクやメルカリなどで気軽に売る事が可能なので、両方買って違った方をオークションで売るという事はありと思います。片方だけしか試してない人はずっと試していない方が気になる、というのはあるあるなので。いずれにせよ、どちらがいいのか?は個人によって変わりますので「こっち1択!!」という物はないです。


次にメーカーについて。

WacomとXP-PENのロゴ画像

ペンタブレット・メーカーのリーディングカンパニーは【Wacom / ワコム】になります。1980年代からペンタブレットを出しています。ペンタブレット関係の特許も色々と持っています。アマチュアからプロまで幅広い層に支持されていて、普及率も圧倒的です。そのためネット上に情報が多くあり、何か問題が起きた時に検索するとたいがいの事は解決できます。次に有名なのが【XP-PEN】になります。Wacomより値段が安いのが特徴です。

HUIONとGAOMONのロゴ画像

他に【HUION】や【GAOMON】などのメーカーもありますが【Wacom】や【HP-PEN】よりは普及していないので、何か問題が起こった時に検索しても解決策が見つからない事が多いため、当サイトでは現在のところ【HUION】と【GAOMON】の製品は掲載していません。製品自体は普通に使える製品です。【HUION】は普及してきたため今後掲載する予定。

現在有名ペンタブレット・メーカーは上記の4社ですが、値段を度外視すればWacom製がいいです。 ずっとペンタブレットを引っ張ってきたので信頼と実績があります。ただペンタブレット、特に液タブは値段が高いです。プロ用だと最低でも10万円以上します。そこで値段の安いXP-PEN製やHUION製があります。 やはり値段が安いというのは魅力的です。

下はWacomとXP-PENのペンタブレットのグレード表になります。横に並んでいる製品が同じ価格帯で性能も似た感じ。ちなみにWacomの【Intuosはインテュオス】【Cintiqはシンティック】と読みます。

板タブWacomXP-PEN
エントリーモデル
(初心者向け・廉価版)
【One by Wacom】【Deco】
スタンダードモデル
(標準スペック)
【Wacom Intuos】【Deco Pro】
ハイエンドモデル
(プロ用)
【Wacom Intuos Pro】なし
液タブWacomXP-PEN
エントリーモデル
(初心者向け・廉価版)
【Wacom One】【Artist】
スタンダードモデル
(標準スペック)
【Wacom Cintiq】【Artist Pro】
ハイエンドモデル
(プロ用)
【Wacom Cintiq Pro】なし

最後にサイズについて。

基本的に大きなサイズの板タブ・液タブの方が描きやすいです。 デジタル絵を描く時は【絵を描く部分+ペイントソフトを操作する部分(UI)】が必要になるため、大きなサイズだとUIを表示していても邪魔になりません。小さいとUIで多くの領域をとってしまうため絵を描く部分が小さくなり描きづらいです。

下の画像で中央の白いエリアが描く部分になり (拡大縮小・回転反転などをして描く)、上下左右のエリアがペイントソフトを操作するUIの部分になります。下はFHD(1920x1080)環境。

CLIP STUDIO PAINTの画像

また大きいなサイズだと絵を描く場合に【手首支点・肘支点・肩支点】のどれにでも対応します。 小さと手首支点とちょっとの肘支点でしか絵を描けません。

板タブは【中型(Medium)か大型(Large)】が、液タブだと【16インチ前後か24インチ前後】がお勧めになります。板タブの小型(Small)や液タブの12インチ前後はリーズナブルですがやはり小さいです。液タブの32インチ前後は超大型で描きやすいですが両サイドのUI操作をするのに、けっこう腕を動かす事になります。あと値段が非常に高い。


【ペンタブレットの選び方まとめ】

出せる予算】【板タブか?液タブか?】【メーカー】【サイズ】が選ぶポイントになります。

◆予算を抑えたい場合は
・板タブなら【One by Wacom】【Decoシリーズ】
・液タブなら【Wacom One】【Artistシリーズ】

◆スタンダードな製品が欲しい場合は
・板タブなら【Wacom Intuosシリーズ】【Deco Proシリーズ】
・液タブなら【Wacom Cintiqシリーズ】【Artist Proシリーズ】

◆予算がある場合は
・板タブなら【Wacom Intuos Proシリーズ】
・液タブなら【Wacom Cintiq Proシリーズ】

【目と体を大切に】

デジタル絵を描く事は目をかなり酷使する行為の1つです。主に2つの原因があります。

1つは【目のピント】。モニターを見続けるのはずっと目のピントを一定に保っているため、目にダメージが蓄積されていきます。例えるなら重い物を持ち上げている状態がずっと続くような感じ。 そりゃ疲れます。30分~1時間に1度、遠く(外の景色や部屋の角など)を見て目のピントを変える事で少し緩和されます。ピントは近くの物を見ている時の方が緊張するため疲れます。遠くを見るとピントが緩み緊張がほぐれます。

もう1つは【瞬きの回数】。人は集中したり何かを操作している時に瞬き(まばたき)の回数が減少します。デジタル絵を描く事はかなり集中しますし、操作もしているため瞬きの回数が減って目が乾き、目にダメージが蓄積されていきます。ドライアイになる原因の1つです。目のピントと同じく30分~1時間に1度、ガッツリ瞬きをする事で少し緩和されます。

目に良い事としては目薬をさしたり、DHAやEPAを摂取するがありますし、その他にも毎日1回~数回【十数秒毎に遠くを見る・近くを見るのピントのストレッチをしたり】、【目の周辺を温める製品を使う】があります。


目薬は【ソフトサンティア ひとみストレッチ】という製品がお勧めです。値段は高めですが、長時間モニターを見る人にお勧めです。

ソフトサンティア ひとみストレッチの画像

目の周辺を温めるにはホットタオル(蒸しタオル)でもオッケーですが下のような製品があり便利です。ホットタオルよりも長い時間温める事ができます。【使い捨てタイプ】と【繰り返し使えるタイプ】があります。10分~20分ぐらいかけ、じっくりと温めます。気持ちいですしリラックスもします。

【めぐりズム】
(使い捨てタイプ)
めぐりズムの画像

【リラックスゆたぽん】
(繰り返し使えるタイプ・電子レンジが必要)
リラックスゆたぽんの画像

デジタル絵での体への負担ですが、板タブは姿勢良く描けるため体の負担は液タブよりは少ないです。液タブは覗き込んで描くため猫背になり体への負担は大きいです。対策としては油絵のように液タブをほぼ立てて描くスタイルだと猫背にならず体への負担も少なくなります (慣れが必要ですが)。そのスタイルは無理という人は液タブの角度を自分が描ける最大の所までもっていき描くと背中の丸まりを抑えられます。

ただし姿勢良く描いていようが長時間描いていると体への負担はあります。 同じ姿勢をずっと続けると筋肉が緊張し固くなり血流が悪くなるためです。ですので1時間毎に1・2分の休憩を入れ、伸びやストレッチをする事で筋肉の緊張を解き血流が良くなり、腰痛や肩こりなどを軽減できます。もちろん散歩や軽い筋トレなどの運動を取り入れるとさらに良いです。



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